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「見た目」に良い姿勢と「身体に」良い姿勢は違う

Body Mapping

ハスヨガマガジンの「ヨガの練習中以外でも。「正しい姿勢」の思い込みをリセット!【動きのしくみがわかる解動学入門】」では、良い姿勢というのはその人にとって快適な姿勢なのではないかとお伝えしました。 そこで、私たちが無意識にやってしまう良い姿勢と快適な姿勢の違いについて、「気をつけ」という日本ならでは文化と絡めて考えます。

日本人には馴染み深い姿勢「気をつけ」

日本には、子供の頃から教育の一環で直立不動の号令として、「気をつけ」をするという考え方が浸透しています。
学校では何かにつけて「気をつけ」をすることが多かったため、「気をつけ」が姿勢を正すシンボルのようなものに植え付けられているのかもしれません。
筆者も子供時代を振り返ると、「気をつけ」と言われて一生懸命背中をまっすぐにしようとした記憶がよみがえりますが、皆さんも同じような思い出があるのではないでしょうか?

良い姿勢=気をつけ?

そして大人となった今、「気をつけ」という概念が当たり前のものとして定着し、良い姿勢をしようと思うと身体は自然に「気をつけ」を目指そうとしてしまいます。
厄介な習慣として身体に記憶されています。
ひょっとしたら今、「気をつけ」という文字を見ただけでも、思わず背中をまっすぐにしようとしている人がいるかもしれませんね。

しかしながら、これは身体の外側から見た、いわゆる「見た目」でしかありません。
「見た目」ではまっすぐな背中で、美しい姿勢と判断されているのでしょう。

身体の内側から見た良い姿勢

背中をまっすぐにすることを教えられる過程で、私たちの身体がどのような構造になっているのかを「気をつけ」と結びつけて教えられることはほとんどないでしょう。

背中を含めた胴体を解剖学的にみると、その軸となるのは7個の頸椎、12個の胸椎、5個の腰椎、仙骨と尾骨から成る脊椎です。
頸椎は前弯(前の方に弯曲していること)、胸椎は後弯(後ろの方に弯曲していること)、腰椎は前弯というように、S字状にカーブを描いています。
S字カーブは呼吸をする毎でさえ微妙に動いて、身体のバランスを保ち続けています。
そして、この自由さがある限り、身体は快適でいられます。

そこから連想できるのは、解剖学的に考える良い姿勢というのは、脊椎のS字カーブで身体のバランスを保っていられることを指すのではないでしょうか?

「見た目」の良い姿勢でやっていること

「見た目」に良い姿勢では、脊椎のS字カーブに無理をさせていることが多いです。
背中(胸椎の辺り)をまっすぐにしようとして、胸を張ると胸椎の動きが制限されます。
その分、腰椎で無理やりバランスを保とうとして必要以上に負担を掛けます。
本来のS字カーブのときよりも、実はかなり反っているということがあり得ます。

おわりに

このように、長年培われた「見た目」に良い姿勢と、解剖学的な構造から考えられる「身体に」良い姿勢には大きな違いがあるようです。
どちらが良い悪いではありません。
でも、「見た目」に良い姿勢を続けていると疲れる、どこかが痛いといった悩みになるなら、「見た目」を忘れてみるのもいいかもしれません。

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