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アレクサンダーテクニークについて語ろう①|アレクサンダーテクニークとは何か?

アレクサンダーテクニークを語ろう

このブログ「からだの使い方ノート」の記事は、筆者が7年近く学んでいる「アレクサンダーテクニーク」からヒントを得ています。
アレクサンダーテクニークは様々な動作においてのパフォーマンス向上に役立ちますが、残念ながら日本ではあまり認知されていません。
そこでこの記事では、アレクサンダーテクニークが生まれたきっかけや理論、特異性などの背景についてご紹介します。

アレクサンダーテクニークが生まれたきっかけ

アレクサンダーテクニークを生み出したのは、1869年に生まれ、1955年に没したフレデリック・マサイアス・アレクサンダー(以後、F.M.と呼びます)というオーストラリア人です。
シェークスピア劇を朗読する朗誦家を生業としていました。

朗誦家としてそれなりに成功を収めていたようですが、舞台でしゃべっていると次第に声が枯れてしまうという問題を抱えるようになりました。
朗誦家にとって、のどの障害は死活問題です。
もちろん医者に相談しましたが芳しい効果は得られず、「本番直前まで声をできる限り出さない」といったアドバイスを実行するしかなかったようです。
根本的な解決には至らず、自分でなんとかしようと思い立ちました。

のどの障害解決のためにF.M.アレクサンダーが行ったこと

F.M.は、声が枯れるのは舞台の上でのみ起こって、日常生活で話をするときは問題がないという点に着目しました。
そこから舞台で朗誦をしようとする際、声を枯らすような行動をしているのではないかと気づき、鏡に映った自分の仕草をひたすら観察することにしたのです。

F.M.アレクサンダーが発見したこと

鏡に映る自分の仕草を観察してF.M.が発見したのは、気づかぬうちに「頭で胴体を押しつぶしていること」です。
頭で胴体を押しつぶすと、首が詰まり、のどがつぶれた状態になります。
その状態で声を出そうとしていたので、声が枯れてしまったのでした。

「頭で胴体を押しつぶしている」とはすなわち,胴体(F.M.は背中と言っていました)をその人本来の長さよりも縮めて短くしたまま、身体を使っているということ。
胴体に隣接している股関節とその下に続く脚、腕も同様です。

そしてこれは、F.M.に限ったことではなく、ほぼ全ての人が大なり小なり、胴体や手足を縮めていました。
腰痛や四十肩、歩行時の膝の痛みなど、多くの人が抱えている様々な身体的問題にも無関係ではなかったのです。

アレクサンダーテクニークの理論と特異な点

「胴体や手足を縮めるのをやめれば、その人本来の身体の使い方ができるようになり、その結果、身体的機能を取り戻して、身体に起こる様々な問題に対応できる」というのがアレクサンダーテクニークの理論です。

ただ、多くの場合は「胴体を伸ばそう」「腕や脚を長く使おう」と身体の部分にフォーカスし、筋肉で動かしたくなるものです。
ところがアレクサンダーテクニークでは「頭で胴体を押しつぶすのをやめてから、頭に身体全体がついていくイメージをする」というように、「頭」を起点にして、そこから全身が連動するように促します。
「頭は前へ上へ向う」「頭が胴体から離れていく」など、様々なイメージの表現がありますが、まず頭が自由に動ける状態であること、そこからあらゆる動作が始まるという考え方が、それまでの身体に関する理論やエクササイズとは異なっていました。

おわりに

筆者は長年、咳喘息に悩まされていましたが、それはまさにF.M.ののどの障害と全く同じところに起因していたようです。
F.M.と同じように毎週のように検査をし、薬を試し、その結果に落胆するということを繰り返していましたが、アレクサンダーテクニークによって急に息苦しいのがなくなったときは、本当に感動しました。
「頭で胴体を押しつぶしている」というのは直立歩行で生きる私たちにとって、今後向き合わざるを得ない命題なのかもしれません。

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