ヨガジャーナルオンラインで【体の「負」にまつわる思い込みシリーズ】を連載中! これまでの記事はこちらからご覧いただけます

アレクサンダーテクニークについて語ろう③|アレクサンダーテクニークがわかりにくい理由

アレクサンダーテクニークを語ろう

アレクサンダーテクニークはいつの間にか力んでいる身体を解放し、動作のコストパフォーマンスを引き上げるものです。
ヨガはもちろん、様々なスポーツに有効なのですが、日本では未だに認知度が低いようです。
この記事では、筆者の経験からアレクサンダーテクニークがなかなか浸透しない理由を考えてみました。

アレクサンダーテクニークが浸透しない理由① 明確なスキルではない

世の中には「○○運動」や「△△矯正」と銘打って、身体の特定の部分にアプローチするエクササイズやボディワークがありますよね。
それらはフォーカスすべき身体の部分を鍛えたりストレッチしたりと、スキルとして行うべきことが明確です。

それに対して、アレクサンダーテクニークは“テクニーク(Technique)”と称しているものの、「身体どの部分をどう動かす」というような明確なスキルではありません。
アレクサンダーテクニークで行うことは「頭で胴体を押しつぶすのをやめるために、思考を通じて身体の変化を促す」であり、直接的に筋肉で動かそうとはしないのです。
肉体的というより思考のトレーニングになり、うまく実践できているのかどうかが実感できないことが多いです。

アレクサンダーテクニークが浸透しない理由② 結果にこだわらない

エクササイズやボディワークの多くは、フォーカスする身体の部分をより良い状態にさせることを目的として、即効性が高いです。

アレクサンダーテクニークにおける、「胴体や手足を縮めるのをやめれば、本来の身体の使い方ができるようになり、その結果、身体的機能を取り戻して、身体に起こる様々な問題に対応できる」という理論は事実です。
しかしながら、上述の通り、思考を通じて身体の変化を促すので、「身体に起こる様々な問題に対応できる」ようになるまでには幾通りもの道筋があり、「問題が解決した」と納得できるようにまでに要する時間や経験の質量は、人によっても問題の内容によっても異なります。
数分で望んだ結果を得られることもあれば、肉何年もかかることもあるのです。

アレクサンダーテクニークのレッスンでは「思考を通じて身体の変化を促す」というプロセスを重視し、「その結果として問題が解決した」と捉えます。
それ故、結果が欲しいというニーズとは微妙にズレてしまうのです。

アレクサンダーテクニークが浸透しない理由③ 知らないことはわからない

「頭で胴体を押しつぶしている」というのは、直立歩行している人間にとって逃れられない習慣です。
これが日常化しているため、ヨガをしていても、そんな無理な身体の状態で動いているとはほとんどの人が気づいていません。
気づかなければ、「頭で胴体を押しつぶしているのをやめる」必要性さえ感じませんよね。
このような経緯から、アレクサンダーテクニークに着目することもないまま、それでも身体に起こる問題をなんとかしようと、誰もが悩んでいるのです。

アレクサンダーテクニークが浸透しない理由④ あまりにも色々なことに応用でき過ぎる

「頭で胴体を押しつぶしている」のは姿勢という、動作の根本的な部分につながっています。
そのため、アレクサンダーテクニークを以て対応できる対象は人生で行うあらゆることです。
適応範囲があまりにも広いというのは、逆に何のために実践すればいいのかを曖昧にし、自分とは関わりないものと判断されてしまうのかもしれません。

おわりに

このように、実践している手応えが伝わりづらいのがアレクサンダーテクニークです。
そこにアレクサンダーテクニーク教師が介入して、本人が知らないことを明確ではないスキルで望んだ結果が得られるように促します。
ヨガのポーズがつらい、良い姿勢になりたい、立ち仕事で腰が痛い、咳が止まらないなど、まずは身近な身体に起こる問題をアレクサンダーテクニーク教師に相談してみてください。

タイトルとURLをコピーしました