「姿勢が気になる」とは多くの人が思っていることですが、良い姿勢とは案外、疲れるものです。
なぜ良い姿勢をしようとすると疲れを感じるのでしょう?
この記事では、良い姿勢に対する思い込みと実際の肉体的な機能の面から、疲れる理由を考察します。
“良い”姿勢という理想に思い込みはありませんか?
姿勢矯正や美姿勢といったワードが注目されています。
特に日本では幼い頃からの教育の中で、“良い”姿勢を強制させられてきたこともあり、“良い”姿勢に対する潜在的な憧れは非情に大きいようです。
“良い”姿勢に憧れるのは、比較対象となる猫背のような“悪い”姿勢への嫌悪感などからくるものでしょう。
それ故、“悪い”姿勢とは反対のことをしようと考えます。
さらに子供の頃からの習慣で「気をつけ」に基づいたイメージが先行すると、それに近づけようと脳が筋肉に働きかけます。
“良い姿勢”の一般的なイメージから筋肉が行っていること
“悪い姿勢”ではない“良い姿勢”をするとき、往々にして無意識に考えるのは「背中をまっすぐにして胸を広げる」と「骨盤を立てる」だと思います。
これらを解剖学的に分析すると、次のようなことが身体に起こっています。
背中をまっすぐにして胸を広げようとすると…
- 肩甲骨を背中の中央に寄せる
- 腕を後ろに引く
- 第一腰椎で反る
- あごを引く
骨盤を立てようとすると…
- 腹筋を過剰に絞める
- 腰椎で反る
- 股関節で反る
- 膝を伸ばす
力技でバランスを取ろうとするから疲れる
このように胴体は後ろに反り気味になるため、バランスを保とうと全身を地面に押しつけて固めたくなります。
さらにバランスの変化を固まったままで補うため、腰椎だけをより反らせて負担をかけます。
筋肉を直接的にコントロールする力技で“良い姿勢”を作ろうとしているのです。
しかしながら、上述の筋肉の働きは骨格の構造に逆らうことも多く、本来の位置から無理やり“良い”姿勢を形作っていることになります。
姿勢をサポートする機能を働かせるには
私たちの身体には、骨格の構造に沿って姿勢をサポートする機能がありますが、それは筋肉を直接的にコントロールすることでスイッチを入れるものではありません。
姿勢をサポートするシステムを機能させるには、頭が首の上で動けて首が自由になること、それに伴って胸や背中、腰、骨盤、膝、足首も連動することなどをイメージするのです。
骨格の構造をイメージするという間接的な方法によって、本来の構造に沿った自然な姿勢になることができます。
おわりに
“良い”姿勢で疲れるというのは、あなたの中の“良い”姿勢の定義があなたの骨格に逆らっているせいかもしれません。
そんなときは“良い”姿勢をやめて、自分の身体はどんな構造をしているのかということを見直してみるといいのかもしれません。
↓合わせて読みたい↓