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テーブルポジションについて考える①「肩の下に手首」による弊害の可能性

Body Mapping

ヨガではキャット&カウなどをするときに、必ずテーブルポジション(四つん這い)の体勢をとりますよね。
その際に「肩の下に手首」と言われることが多いと思います。
この記事では、胴体と腕の関係を中心に、テーブルポジションにおけるアライメントを解剖学的に考えます。

テーブルポジションで手首の位置に気をつける理由

ヨガのレッスンを受けているとテーブルポジション(四つん這い)をするとき、まず言われるのが「肩の下に手首が来るように」というものでしょう。
何も考えずに四つん這いをすると、肩幅よりも狭かったり、肩の下よりも前に手を置いたりすることが多いようです。
そうすると、身体を支える手首への負担が大きくなり、いずれ手首を傷めることになります。
そこで、身体をバランスよく支えることができるように、「肩の下に手首」というアライメントが重要になってくるのです。

解剖学的に考えると腕はテーブルの脚ではない

確かに、手首に連なる腕は肩関節(肩甲上腕関節)で90°前後の屈曲が起こることによって、テーブルの脚のように支えることができます。
そこには、背中をはじめたとした胴体を一枚の板、腕を脚と見做してしまう、思考が影響していると思われます。

しかしながら、腕を動かしたり、保持したりするのを助ける関節は肩甲上腕関節だけではありません。
腕には肘や手首という関節があります。
さらには、肩甲骨と鎖骨をつなげる肩鎖関節、鎖骨を身体の軸の一部である胸骨とつなげる胸鎖関節でも動きが起こって、「肩の下に手首が来るように」することができます。

腕が動くことより手首の位置を確かめることが先になると

このように、腕だけでも、胸鎖関節、肩鎖関節、肩甲上腕関節、肘、手首とたくさんの関節で動ける仕組みになっているのですが、「手首を正しい位置に持っていこう」と思うと、自然と筋肉に必要以上の力が入り、これらの関節が自由に動けることの邪魔をします。
そして、「手をその位置に着かなければ」という思いから、手をマットの表明に合わせようとして、手を置くよりもさきに形作って指先に力を入れ、腕でしっかり支えようとして、肘や肩の可動域に制限をかけてしまいます。

「背中を平らに」が身体をより動きにくくする

さらに「背中を平らに」といった誘導が加わることもあります。
そこには、胸やお腹が落ちないように、体幹を安定させるといった目的があると思います。
この言葉も場合によっては、肩甲骨を背中側に寄せて固定し、胸鎖関節、肩鎖関節、肩甲上腕関節、肘、手首、指の動きを制限することになりかねないです。

おわりに

私たちは身体の構造や動く仕組みを無視して、言われるままに身体を動かすことが普通です。
テーブルポジションにおいても、表面上は「肩の下に手首」「背中を平らに」という正しいアライメントをなぞることいくらでもできます。
でもその裏側では、腕や肩、背中の筋肉を本能的に緊張させて、動きにくい状態にいつの間にか作っているものなのです。
指示の通りにしても手首が痛いというときは、手首につながる様々な部分を固めて動かした結果、手首に無理を強いているのかもしれません。

↓撮影に使っている骨格模型はこちら↓

↓骨格模型を改造しました↓

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