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過伸展って何だろう? 肘の関節について解剖学的に考える

Body Mapping

ヨガでは過伸展に気をつけるように言われることがありますが、過伸展とはどういう状態で、どのような影響があるのでしょう?
この記事では、肘の過伸展について解剖学的に分析し、起こり得るであろう問題点について考察します。

肘の過伸展とはどんな状態?

過伸展とは、肘関節が他の人よりも過剰に伸展していることを指します。
腕を伸ばして、肘の辺りで弓なりに反っていれば、だいたい過伸展だと言えます。

ちなみに、過伸展のうえに肘から先が「く」の字を描くように外側に曲がる外反が入ると、「猿腕」と呼ばれるようです。

肘の構造

肘関節は上腕骨と尺骨と橈骨で構成されています。
中でも、屈曲・伸展の運動を行うのは上腕骨と尺骨です。

上腕骨は上の方が太く、中ほどが細く、下にいくほどまた太く、正面から見ると横幅が出るような形をしていて、下の方の裏側には肘頭窩(ちゅうとうか)と呼ばれる凹みがあります。
一方、尺骨の先頭は肘頭(ちゅうとう)というカギの形をしています。
腕を伸ばしたとき、肘頭窩に肘頭がはまり込むという仕組みになっています。

肘の過伸展の解剖学的な解釈

さて、骨の形には固有差があり、肘頭窩が肘頭のサイズに対して非常に大きいという人がいます。
つまり凹みが大きいため、他の人よりも余計に肘頭が入り込んで、腕が弓なりに反るように見えるのです。
この状態を別の言葉で表すと、「肘関節の可動域が広い」ということになります。

肘の過伸展の何が問題か?

関節の可動域が広いというだけなので、日常生活では特に問題はありません。
ヨガで肘の過伸展をよく注意されるのは、ダウンドッグなど、腕で身体を支えるときに腕の動きにわずかな自由度がなくなるからだと思われます。

過伸展の人に限ったことではありませんが、腕を思い切り伸ばそうと思うと、連動して肩と手首にも必要以上の力が入ります。
そして、その状態をキープしようと無意識に固めてしまうものです。
肩や肘が固まって動きにくくなると、全身で保っていたバランスが手の方に集中しがちで、どうしても手首への負担が大きくなるのです。
過伸展の人は腕が反ったような状態で同じことが起こるため、手首への負担はさらに大きくなるでしょう。

おわりに

肘を思い切り伸ばしたままで身体を支えれば、手首への負担が大きいというのは大なり小なり、誰にでも起こることです。
過伸展の場合はその影響が他の人よりも生じやすいというだけ。
それでも、腕はそれなりに伸びていないと、ダウンドッグで身体を支えることは難しいです。
そこで、「過伸展に気をつけよう」「肘を緩めよう」と頑張るより、「肘は曲がるものだ」ということを念頭に置いておく程度でも大丈夫だと思います。

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