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ダウンドッグで人さし指の付け根が浮く理由

Body Mapping

ダウンドッグをしていると「人さし指の付け根が浮かないように」と注意されることがあります。
頑張って手をパーに開いてヨガマットをとらえているつもりなのに、いつの間にか浮いてしまいませんか?
そこで、ダウンドッグで人さし指が浮いてしまう理由を解剖学的に考察します。

腕や手の骨格の確認

まずは腕や手の骨格について確認しましょう。
腕は上腕骨(二の腕の部分)、尺骨と橈骨(肘から手首までの部分)の3本の骨で構成されています。
そして、手は8個の小さな骨の集まりである手根骨、それぞれの指となる第1〜5中手骨や第1〜5指骨からなります。

手のひらの手首付近を触ると、ゴツゴツしているところがあります。
そこが手根骨。
一般的に手のひらと呼ばれるところの大部分が第1〜5中手骨に当たり、指は第1〜5指骨(さらに基節骨、中節骨、末節骨と分かれます)に当たります。

腕から指先への支えるための力の伝わり方

さて、ダウンドッグなどで床に手を着いて身体を支えるとき、力は上腕骨から肘を通って主に尺骨に伝わります。
橈骨は肘での回内・回外運動に関与する構造上、支えの力の役割にはあまり参加していません。

そして、尺骨に伝わった力は手根骨の外側を通って、手のひらの外側である第4・5中手骨、指先である第4・5指骨、つまり小指と薬指へ伝わります。

指は構造によって操作と支えに役割が分かれる

注目してほしいのは手根骨と中手骨とのつながり方です。
中手骨と接している手根骨は大菱形骨、小菱形骨、有頭骨、有鈎骨の4個です。
第1中手骨は大菱形骨、第2中手骨は小菱形骨、第3中手骨は有頭骨と1本の中手骨に対して1個がつながっています。
ところが、第4・5中手骨の2本が接しているのは有鈎骨という骨のみです。

この構造が意味するところは、第1〜3中手骨は可動域が広く、第4・5中手骨は可動域が狭いということ。
親指と人さし指、中指は操作をする役割、薬指と小指は支えたり、力を入れたりする役割に分かれているのです。

手のひらの内側(人さし指側)は構造的に支えに適していない

また、親指となる第1中手骨と第1指骨は他の4本とは対立するような構造をしています。
親指だけ単独で動かしたり、力を入れたりすることが容易なため、ダウンドッグで支えるときの「手のひら」の勘定には、今回は敢えて入れないことにします。

以上を踏まえて手を床に着いた際の力の分散状態を考えると、力は基本的に手のひらの外側(小指側)に加わり、内側(人さし指側)には入りにくいことになります。
ダウンドッグは腕で体重を支える大技であるため、この状態が顕著になり、いつの間にか人さし指の付け根が浮いてしまうのでしょう。

おわりに

ダウンドッグで人さし指の付け根が浮くのは、構造上、支えるようにはできていないからです。
それでも、小指側だけで長時間支え続ければ、局所的な負担は大きくなります。
それぞれの指の役割を把握したうえで、上手く力を分散できる方法を探求するとよいでしょう。

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