ご縁がありまして、新潟県を拠点に60年以上も靴下を製作・販売している株式会社山忠さんの機能性靴下ケアソク「ととのえる」を使わせていただくことになりました。靴下は下着(消耗品)としてあまり重視していませんでしたが、まさに足下から揺るがされるような新しい体験をしたので、アレクサンダーテクニーク的視点と合わせてレビューします。
機能性靴下ケアソクとは?
ケアソクは「足の声」にもっと耳を傾けたいと誕生した機能性靴下のブランド。予防科学をコンセプトに、足の専門家と共同で研究し、データや学術論文など科学的な根拠に基づいて開発されたそうです。現在、足の筋や骨格を正しい状態に導く「ととのえる」、足の皮膚の適切な水分量を保持する「うるおす」、足の深部からめぐりを促進する「あたためる」の3シリーズが展開されています。
私が使わせていただいたのは「ととのえる」。「ととのえる」シリーズにも、普通の長さのベーシックのほか、足首までの「ウォーキング」、クラウドファンディングでプロジェクトが開始されている「スポーツ」があります(2023年12月時点)。
ケアソク「ととのえる」の特徴
履くだけで足トラブルを予防+緩和するという「ととのえる」の特徴は次の3つ。
- 足の指をしっかり使える「インナー5本指構造」
- 外反母趾や足裏痛を緩和する「横アーチサポート」
- かかとから関節や筋肉へ伝わる衝撃を軽減する「かかとハニカムクッション」
ケアソク「ととのえる」が届いた!
届いたパッケージにはお願いした「ととのえる ウォーキング」以外にも、なんと「ととのえる ベーシック」も入っておりました。そして商品リーフレットと漫画家 田中圭一氏による小冊子「あしたの、足に。マンガでわかる!足の世界 Vol.1」もあり、ケアソク開発の裏側などがマンガでわかりやすく解説されてます。「ととのえる」の使用後に読むと、「なるほど、こういうことか」と実感するところがありました。
ちなみにこのマンガはケアソクのホームページで、第3話まで公開されています。第2話の工場のシーンでは「インナー5本指構造は手作業で作られているのか!?」と驚き、第3話では深爪すると指に力が入らなくて踏ん張れなくなることを知りました。
田中圭一氏が描く、ケアソクのはなし 「あしたの、足に。」第三話公開!
さぁ、ケアソク「ととのえる」を履いてみよう
さて、「インナー5本指構造」というのがなかなかのクセモノでした。上の画像にあるように靴下の中が仕切られていて、指一本一本をそれぞれのパーテーション(区切り)に収めなければなりません。パッケージには「正しく効果を出すための着用ポイント」という注意書きが入っていて、書かれている通りに履いてみました。ところが、人さし指と中指、薬指と小指が同じパーテーションに入ってしまって、最初は何度も履き直しました。急いで支度をしている場合は余計に焦るので、余裕がある日に履くべきかも。
「ととのえる」を履いてみて、それまで中指と思っていたパーツが人さし指だったり、薬指と小指が曖昧だったりと、足指の意識についての新しい気づきが加わりました。
ケアソク「ととのえる」を履いた感想
アレ? 疲れていないかも
履いた最初の印象は「足をふんわり包まれているようでとにかくクッション性が高い」でした。「ととのえる」の本格デビューは、突然思いついた岡山県倉敷への一人旅で、行きは「ととのえる ウォーキング」で、「ベーシック」を翌日の着替えとして持っていきました。2日間かなり歩いたにもかかわらず、足が疲れたという感覚はほとんどありませんでした。これについては一日の終わりに「そういえば足が疲れてないな〜」と後から思いついた程度だったので、「かかとハニカムクッション」が地味にいい仕事をしていたのかもしれません。
体を長いまま使うってこういうことだったのね
個人的に最も印象深いのは「インナー5本指構造」です。パーテーションに収めることで、それぞれの指の存在を意識しやすいだけではなく、アレクサンダーテクニークの理論上理想とされる「体を長く使う」ということが指先で実践できていました。足指をギュッと縮めて踏ん張るのではなく、長いままで然るべき場所で必要なだけの力で踏ん張ることがうまくできているような気がしました。恐らくこれまでの5本指ソックスでは、このような感覚を体験はできないと思います。
アレクサンダーテクニークの創始者F.M.アレクサンダーは、「足で床をつかむように」と舞台のコーチに指導されたことに発する足指を縮める習慣により、テクニークの基本となるプライマリー・コントロール(頭で脊椎を押し下げるのをやめること)の実践に当初苦心したと聞きます。私も歩行時に後ろ足で地面を蹴る際に、足指を縮めて踏ん張っていることが気になって、それをやめたいと思っていたのですが、「インナー5本指構造」のおかげで縮めて踏ん張る習慣をしないで歩けました。
あ、足裏全体が使えている!
もう一つ、ステキな発見がありました。立っているにしろ、歩いているにしろ、足裏で重心を感じるときは、親指の付け根側か小指の付け根側のどちらかというように局所的でした。ところが、「ととのえる」を履いている間は親指から小指までの各指の付け根全体でうまくバランスをとっているように感じました。「横アーチサポート」によるものなのか、「インナー5本指構造」の効果の延長でそう感じるのかは定かではありませんが、足裏全体が使えているという満足感がありました。
ちなみに、洗濯もネットに入れれば洗濯機でOKです。
ケアソク「ととのえる」のデメリット
実際に履いて正解というのが、ケアソク「ととのえる」に対する個人的な感想です。 デメリットはやはりお値段ですね。「ととのえる ウォーキング」は税込みで2,750円〜2,915円、「ととのえる ベーシック」は3,300円〜3,520円。サイズによって価格は変わります。3足1,000円を使っていた者には、靴下にこの金額はかなりつらい。でも、効果を考えると妥当なお値段だと思います。足下の環境を整えることに関心があるなら、それなりの出費もひつようですね。
また、先述の通り、「インナー5本指構造」のパーテーションにそれぞれの指を収めるにはちょっとしたコツが必要です。慣れないうちは、時間がないときに履くのはおすすめしません。
おわりに
機能性靴下を否定するわけではありませんでしたが、自分の使い方は自分でコントロールが信念のアレクサンダーテクニーク実践者としては、自分の意識が変わらなければ結果はついてこないのではないかと思っていました。でもケアソク「ととのえる」を実際に履いてみて、意識したいと思っていたところが意識しやすくなるように足の環境を整えてくれる製品なのだとわかりました。「その足の使い方、いいね!」と自分の足をフォローしてくれる心強さがあります。道具を味方につけるのもアレクサンダーテクニークの手法のひとつだと思うので、「ととのえる」を履き続けることでアレクサンダーテクニークライフにも変化があるかもしれません。