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スマホを見るという動作で身体に起こっていること解剖学的に考える

Body Mapping

前の記事「スマホを見るときに顔からのぞき込もうとしていない?楽にスマホを見る方法」で「スマホを“見にいこう”」と思ってスマホを見ると、スマホの位置を固定して、そこに身体を合わせようとしてしまう習慣があることをお伝えしました。
そこでこの記事では“見にいこう”という思いが解剖学的にどう身体に影響するのかを考えていきます。

しっかり見たいという欲求が「スマホを“見にいく”」になる

スマホに限ったことではありませんが、パソコンのモニターやテレビなど、注目している対象物を見ようとすると、私たちはそれに向かっていくように視点を対象物に合わせようとするものです。
筆者が思うに、しっかり見たい、対象物から得られるはずの視覚的情報を取りこぼしたくない、といった欲求が無意識にあるのではないでしょうか。
その欲求が見るという動作を急がせて、見にいくになるのだと思います。

最初に身体の軸(脊椎)が固まる

しっかり見たい、視覚的情報を取りこぼしたくないと思うと、目がついている顔をスマホに近づけたくなります。
その瞬間に起こるのが、あごを少し上げるようにして首の後ろを縮めるという行為です。

私たちの身体の軸となるのは首(頸椎)から始まる脊椎ですが、頭蓋骨と頸椎1番をつなげる環椎後頭関節(Atlanto-occipital joint / AOジョイント / トップジョイント)での可動域を制限すると、その下の頸椎2番以下も詰まって動きにくくなります。
あごを上げるようにして首の後ろを縮めるとは、まさに環椎後頭関節での可動域の制限をかなりオーバーにしていることになります。
そして、首が詰まり、固まったままで対象物に視点を合わせようとするのです。

次に腕が固まる

次に手と腕に着目しましょう。
手に取って見ることができるスマホの場合、スマホを支える腕の使い方も重要だからです。
腕の骨は肩甲骨と鎖骨を通って、胸の前にある胸骨につながっています。
さらに胸骨は肋骨を通して胸椎1番につながっています。
環椎後頭関節から順番に頸椎も胸椎も詰まっていると、巡りめぐって、肩や肘の可動域まで制限されてしまいます。

最後に脚まで固まる

さて、立っていようが座っていようが、どのような体勢でもお尻や脚は身体を支える重要な役割をしています。
脊椎は頸椎、胸椎、腰椎、仙骨・尾骨から構成されています。
これらが上から順番に詰まっていくと、仙骨・尾骨と共に形成している骨盤と脚のつなぎ目である股関節まで可動域が制限されます。

おわりに

私たちの身体の骨は電車のように全てがつながっていて、一つひとつが順番に動かなければ、本来の可動域を活かせません。
本来の可動域が活かせないと、ぎこちない動きで身体に無理を強いることになります。
普段、本能的に行っているスマホを見るという動作は、「しっかり見たい」という欲求を優先して、その順番を無視しているようなもの。
無視して見続けた結果、首が痛い、肩が痛いといった問題に悩まされることになるのでしょう。

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