階段を降りようとして、転げ落ちそうな恐怖を感じたことはありませんか?
そこには、高所恐怖症というより、身体の使い方が関係しているのかもしれません。
この記事では、階段を降りるという動作において身体に何が起こっているのかを考察します。
急いで階段を降りると転げ落ちそうな感覚にとらわれる
駅などでは、広くて長い階段を急いで降りなければならないことがありますよね。
その際に「転げ落ちそうで怖い」と感じる瞬間があると思います。
普段は高所恐怖症だと思っていない人でも、恐怖の感覚にとらわれることはあるでしょう。
しかも、ホームに電車が到着しそうで、少しでも早く降りたいと思っているときほど、落ちそうな気になります。
どうしてそのような状態に陥ってしまうのでしょう?
安定して降りたいという焦りが身体に緊張を生み出す
階段を降りるということは、高いところから低いところへ移動することです。
低いところから高いところへ移動する、登るよりも降りる方が不安定な体勢で行うため、無意識に「身体を安定させて降りたい」と思うものです。
駅の階段では急いで「安定させて降りたい」ので、身体は緊張します。
緊張とは、頭を胴体に引っ込めてることなので、軸である脊椎が詰まり、連動して股関節や膝、足首も動きにくくなります。
前に進みたいのに重心は後ろに向う矛盾
このように全身が固まって動きにくくなった状態で階段を降りようと一歩を踏み出すと、バランスを保つために、どうしても上体を後ろに反らせなければなりません。
そして顔だけを下に向けて、足下を注視するのです。
さて、階段を降りる場合でも、進むべき方向は前です。
ところが、上体を反らせているため、体勢としては後ろに重心が向います。
つまり、前に進むという動作とバランスを取るための体勢のベクトルが相反しているのです。
だから、早く降りたくても降りられないのでしょう。
また、動作と体勢のベクトルの矛盾は、階段の高低差を余計に錯覚させることがあります。
安定させようと固まらせて、上体を反らすほど、「転げ落ちそう」という恐怖心は高まるのです。
股関節を使って前かがみになろう
逆に、「前かがみになる」と思いながら、階段を降りてみましょう。
股関節で曲がることも思い出します。
そうすると、上体の全てが連動して前に向い、脚もそれに合わせて一歩を踏み出してくれます。
「前かがみ」と思うだけで脊椎や股関節が緩んで、可動域が広がります。
このように全身の自由度を取り戻すことで、自然とバランスが取れるようになり、楽に階段を降りられるようになるのです。
おわりに
階段で「前かがみで降りる」と考えるのと、落ちたり、躓いたりしそうです。
でも、そもそも上体を反らせて、後ろの方向を意識しているものなので、前かがみくらいの思考の方が、全身でバランスをうまく取りながらスムーズに降りられることでしょう。