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なぜねじりのポーズは上からねじるとより深まるのか?

Body Mapping

YOGA BASE LABのブログ「腰椎をねじれない?ねじりのポーズのやり方を考えよう」で、頭から順番にねじると背骨全体で回旋運動が起こると説明しました。 半分の魚の王様のポーズ(アルダマッチェンドラーサナ)などで頭から動くことを意識してねじると、いつもより深まったという声もよく聞きます。 そこでこの記事では、ねじりのポーズを深めるポイントを解剖学的にお話します。

脊椎は椎骨がつながって1本の柱となっている

私たちの上半身を支えるのは7個の椎骨の集まりである頸椎(首)、12個の椎骨の集まりである胸椎(背中)、5個の椎骨の集まりである腰椎(腰)、そして仙骨と尾骨(骨盤)から成る脊椎です。
椎骨は頸椎から腰椎に下るにしたがって、一つひとつのサイズが大きくなり、椎骨を構成する椎体や棘突起、横突起、上関節突起、下関節突起の形状も変化します。

構造的に腰椎ではねじれない理由

さて脊椎がどう動くようにできているのかという点から、椎骨の一部である関節突起の形状が非常に大きな意味を持っています。
上の椎骨の下関節突起と下の椎骨の上関節突起が重なって椎間関節となるわけですが、腰椎では関節突起が非常に大きく、また矢状面方向(正面に対して直角)についています。
従って、腰椎でできる運動は矢状面での動きである、屈曲と伸展ということになります。

椎体の方で椎間板というクッションを挟むことで回旋や側屈もできますが、腰椎の場合は関節突起が胸椎などと比べて非常に大きいため、回旋することを邪魔しています。

このような構造上の事情から腰椎はねじれません。

脊椎の中で最も回旋が得意なところは頸椎

その代わり、比較的に関節突起が小さめの胸椎や頸椎が脊椎での回旋を担っています。
中でも注目すべきは頸椎でしょう。 頸椎は腰椎や胸椎ほど、関節突起が目立つような形状ではありません。
それ故に屈曲や伸展、側屈に加え、回旋を行いやすくできています。

さらに一番上の第1頸椎は環椎、二番目の第2頸椎は軸椎とも呼ばれ、このふたつで環軸関節をなしています。
環椎はリング状、軸椎はリングの中でリングが回転するための軸です。
このことから、頸椎の一番上が回旋に特化した形状であることはおわかりでしょう。

緊張は首を縮めるところから始まる

もう一つ、首が重視されるポイントとして、私たちはいつでも緊張によって余計な力を無意識に入れているということがあります。
緊張とは頭を胴体の方に向かって引っ込め、首を縮め、固めるところから始まります。
前述の環軸関節は頭蓋骨のすぐ下にあって最も固まりやすいため、無意識下ではせっかくの回旋特化の構造を活かしきれないことが多いのです。

おわりに

頸椎の一番上が回旋に特化していること、頸椎が腰椎や胸椎に比べて自由に動けるようにできていること、動きを阻害する緊張の始まりが頸椎を固めることにあることなどの事情を鑑みると、脊椎をねじるという意味では上からねじっていく方が構造を活かせて有効なようです。
頭が首の上で自由に動けることをイメージして緊張を解き、そこから頭、第1頚椎、第2頸椎、第3頸椎・・・と順番にねじってみてください。
それまでとは違う感覚を得られるかもしれません。

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