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陰ヨガのポーズを考える|ハーフバタフライ1 股関節の屈曲とは

Body Mapping

長年ヨガを続けている人やインストラクターとしてヨガを教える立場になると、解剖学への関心が高まるようです。
「前屈は股関節で屈曲すること」とは、ヨギにとってはもはや当たり前なのかもしれません。
しかしながら、これまでのヨガにおける解剖学では「股関節で屈曲するとはどういうことか」という動作の分析の視点ではあまり語られていなかったように思えます。
今回は、陰ヨガのハーフバタフライのポーズを例に、解剖学の知識を動作の分析と照らし合わせて、前屈の際に股関節で起こっていることを解説します。

陰ヨガのハーフバタフライのポーズとは

陰ヨガでよく行われるポーズにハーフバタフライがあります。
日本語では片脚前屈のことです。
ポーズの目的となる、どこをストレッチするかというターゲットエリアは、伸ばしている脚の後ろ側全体(太ももやふくらはぎ、足首にかけて)です。

片脚は伸ばし、もう一方の脚は安楽座の形をとって、足裏を伸ばしている脚の太ももの横に添えます。
陰ヨガでは安楽座の脚の形をバタフライと呼ぶことから、片脚前屈をハーフバタフライと呼びます。

脚(太もも)の後ろ側を伸ばすために必要な動作

ターゲットエリアの脚の後ろ側にハムストリングスやヒラメ筋を始めとした脚を動かす様々な筋肉がありますが、特に大きくて主要なハムストリングスは骨盤の一番下に位置する坐骨と膝に付着しています。
つまり坐骨が膝から離れれば、ハムストリングスは伸びていくことになります。
そして、坐骨が膝から離れるという動作は股関節で行われ、解剖学的には股関節の屈曲と呼ばれる運動です。

股関節の構造と動くしくみ

股関節は骨盤と太ももの骨(大腿骨)のつなぎ目です。骨盤の坐骨と恥骨の中間の辺りに深めの皿のような形状をしているところ(寛骨臼)があります。
一方で大腿骨は太くて長い棒のようですが、頭の部分にくびれがあって、その先がボール状(大腿骨頭)になっています。
そして皿の上でボールが転がるようなイメージで、股関節では運きが起こっています。

股関節が屈曲するとはどういうことか

ヨガインストラクターの勉強をしていると、股関節で行われる運動は屈曲、伸展、内転、外転、内旋、外旋であると教わります。
筋肉の付き方や人それぞれの骨の形に個性があるため「若干の外旋と外転が入りながら屈曲」というように、正確には屈曲だけが起こるというわけではありませんが、今回は屈曲にフォーカスして骨盤と大腿骨がどう動くかを考えると、次のような運動が起こっています。

前屈で股関節を屈曲するとき、大腿骨に対して、骨盤が股関節を中心に円を描くようにして倒れていく。

そうすると、坐骨は自然と膝から離れていくことになります。

おわりに

脚(特に太もも)の後ろ側をストレッチするためには、このような股関節の構造と屈曲のしくみが利用されています。
ただ「股関節で屈曲する」と思うより、「股関節の皿でボールがコロコロ動けることで、骨盤が太ももの方に倒れていく」と思いながら前屈をしてみてください。
いつもとは違う前屈とストレッチ感が味わえるかもしれませんね。

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