ハスヨガマガジンの「ヨガ中の緊張と弛緩の効果を最大限発揮させるために必要な、たった1つのこと」で、私たちは頑張ることに慣れていて、身体は常に力を入れた状態にあるとお話しました。
そんな中でヨガをしているとどんなことが起こるのでしょう?
この記事では、ヨガと力の入れ方(身体の使い方)の関係性について、筋肉の収縮の種類から考えてみたいと思います。

筋肉の収縮の種類
筋肉は収縮することが仕事です。
収縮は主に次の3種類に分けれます。
- コンセントリック収縮(短縮性収縮)
筋肉が縮みながら収縮することです。
例えば片手にダンベルを持って肘を曲げて、自分の方へ持ち上げていく動作は、上腕二頭筋がコンセントリク収縮を行っていることになります。 - アイソメトリック収縮(等尺性収縮)
筋肉の長さが変わらずに、一定の状態を維持していることです。
ダンベルを持ち上げる動作を途中で止めて、そのままの状態を維持しているとき、主導筋である上腕二頭筋と拮抗筋である上腕三頭筋がアイソメトリック収縮を行っています。 - エキセントリック収縮(伸張性収縮)
筋肉が伸びながら収縮することです。
持ち上げたダンベルを下ろすときの動きがこれに当たります。
勢いに任せて落とすのではなく、ゆっくりと下ろそうとするとき、上腕二頭筋にエキセントリック収縮が起こっています。
ヨガはアイソメトリック収縮のエクササイズ
ヨガは全身を使ってポーズを行うことから、全身の筋肉でこの3種類の筋肉収縮がなされています。
特に呼吸に合わせてポーズをキープするところなどでは、アイソメトリック収縮が非常に効果的に行われることになるのでしょう。
アイソメトリック収縮に囚われすぎることのデメリット
しかしながら、アイソメトリック収縮で筋肉を拮抗させることにばかり目を向けていると、緊張が起こり、その周辺の関節が動きにくくなるという現象が起こります。
腕を真横に挙げてまっすぐにキープしようとして、背中に必要以上の力が入り、肩が痛くなる。
太ももを床と平行にしようとして、太ももに必要以上の力が入り、股関節に違和感を感じる。
このような思いをしたヨギは少なくないと思います。
身体の部分とそこに付着する筋肉だけに囚われていると、そのうちケガをすることになるかもしれません。
身体全体を覆うファシア
ヨガをはじめとした多くのエクササイズでは、鍛えたり、ストレッチしたりする部分の筋肉で考えることが多いです。
でも、筋肉はファシアと呼ばれるボディスーツのようなもので覆われ、ところどころでは筋肉とファシアが直接つながって働いています。
つまり、腕を真横に上げる、太ももを床と平行にするといった動作は、腕や太ももの筋肉だけの問題ではなく、全身のファシアが総動員して動くことによってその動作がなされるのです。
ファシア的エキセントリック収縮
そこで、身体全体を覆うファシアという単位でヨガのポーズをとる、キープするために「伸びながら動く」という概念を取り入れたらどうなるでしょう?
ファシアとしてはエキセントリック収縮で動くように考えてみるのです。
次のように考えながら動くことを試してみてください。
脇の下や背中が伸びるから、腕が真横に挙がり、キープできる。
お尻や腰が伸びるから股関節も動けて、太ももを床と平行にできる。
おわりに
身体を動かすのは筋肉と言われていますが、近年の研究ではファシアの方がより大きな役割を果たしていると報告されているものもあります。
「伸びながら動く」とは不慣れで矛盾しているように感じるかもしれません。
でも、このように考える方が動かそうとしている部分を、そして軸となる体幹を緊張させることは少ないようです。
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