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ロールダウンとロールアップをうまく行うなら始めの動作を丁寧に②

Body Mapping

いつの間にか固めてしまっている背中や腰を解放し、自由に動ける脊椎のためのトレーニングとして、ロールダウンとロールアップを紹介するシリーズ第2弾。
前の記事「背中まっすぐから脱却!ロールアップが身体の使い方に大切な理由」で、ヨガでは「背中まっすぐ」を意識しすぎて、脊椎の骨一つひとつを動かして起き上がるロールアップが難しいとお話しましたので、今回はロールアップの仕組みを解剖学的視点から考察していきます。

前屈の状態で身体に何が起きているのか

「背中まっすぐ」での前屈であれ、ロールダウンであれ、頭がお尻より下にある体勢のとき、身体には何が起こっているのでしょうか?

前屈という体勢は脊椎や股関節の屈曲です。
全ては身体の前側で起こっていて、必然的に重心は足の前の方に掛かっているはず。
もちろん、足首の下でバランスを保ち続けるのが理想なのかもしれません。
それでも身体の前側で運動をしている以上、足首の下からつま先にかけての範囲に重心があることでしょう。

重心が前の方のままロールアップするとどうなるのか

何も考えずに重心が前方向のまま、ロールアップで上体を起こそうとすると、最初に動き始めるのは腰椎です。
なぜなら、前方向にある重心のバランスをとるのはお尻であり、そのためにお尻を動かさないように固め、股関節の動きに制限をかけてしまうから。
その分、腰椎を余計に動かして、起き上がる動作を補おうとするのです。

重心の移動が上体を起こすポイント

インストラクターによっては、起き上がるときに「膝を緩めましょう」と強調することがありますよね。
これは重心を移動させることによって、真上から膝に掛かる負担を減らすことに有効です。
さらに言えば、膝とお尻でバランスをとりながら、上体が起き上がる体勢へ移行するための準備ができるのです。

重心の考え方とロールアップの導き方

まず、前屈をしているときに重心が足の裏のどの辺りにあるのかを観察しましょう。
そして「その重心がかかとの方に移動する」とイメージしてください。
足の裏や脚に余計な力が入っていなければ、そのイメージに合わせて膝が緩み、お尻が後ろに移動してくれます。

次に骨盤がクルッと回転して、起き上がると思ってみてください。
骨盤の一部である尾骨と仙骨が先に動き、そこに連動するように腰椎が下から順番に動いてくれることでしょう。

おわりに

私たちは、前屈から起き上がる動作を骨盤から上で起こるものと本能的に思い込んでいる節があります。
体幹の中心であり、軸でもある脊椎と骨盤は確かに重要です。
でも、動作は全身で起こるものであり、特に動き始めにこそ目を向けることがスムーズに動くためには効果的です。
ロールアップの場合は足の裏や脚(足首、膝、股関節)。
動き始めのポイントとして、重心がどこに掛かっていて、どこに移動するのかを意識してみるのも、一つの手段ではないでしょうか。

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