解剖学を勉強していると欲しくなるのが骨格模型。
筆者も1/2モデルを購入し、肋骨に固定されていた肩甲骨を動くように改造しました。
今回は番外編として、骨格模型の改造工程を紹介します。
手芸店や100均ショップで手に入る材料で、制作時間はだいたい2時間ほどです。
お手頃価格の骨格模型は肩甲骨が動かない
骨格模型(1/2モデル)の価格はピンキリで、5000円しないものから十何万のものまで多種多様です。
解剖学マニアに有名なところでは、脊椎や肋骨、骨盤などが可動のNinja Anatomyでしょう。
しかしこちらは、MacBookを新調するのと似たようなお値段なので、なかなか手が出せませんでした。
そんな筆者が目をつけたのが、frugolio casaの骨格模型です。
こちらも激安というわけではありませんが、肩関節と股関節がゴムバンド仕様で、屈曲・伸展に加え、内転・外転・内旋・外旋もそれなりにできます。
これより安い骨格模型は肩関節と股関節がネジで留められているため、屈曲・伸展しかできないタイプばかりだったのです。
でも、さすがにこの価格帯で、肩甲骨まで動く仕様は不可能な模様。
それならば、自分で改造するしかないでしょう。
ないなら自分で作ってしまえ!の精神で、骨格模型を改造します。
材料・制作に使用したもの
材料は、ブレスレットなどに使われる透明ゴムひも(直径1mm)とUVレジン(ハードタイプ)のみ。
肩甲骨を胸椎や肋骨とつなぐツールとして、透明ゴムひもを選択したました。
直径1mmでは肩甲骨を支えるのに耐えられるか不安でしたが、ネジ穴に2本通すことを考えると、直径1mmが妥当な太さでした。
UVレジンは透明ゴムひもを胸椎や肋骨に接着するためと、ネジ穴に透明ゴムひもを通す際の留め具作りに使います。
留め具作りには、正六角形のジュエリー型のシリコンモールドの一番小さいものを選択しました。
このシリコンモールドはもともと筆者が持っていたもので間に合わせましたが、もっと丸くて目立たないような型の方がベターだったかもしれません。
肩甲骨を留めているネジを外す
肩甲骨を留めているネジを外します。
ネジを外しても、鎖骨とは金具でしっかりつながっているので、バラバラになる心配はありません。
まあ、腕の重みで多少はずれますが…。
透明ゴムひもを肩甲骨のネジ穴に通す
次に、ネジ穴に通す透明ゴムひもの加工です。
シリコンモールドにUVレジンを流し込み、その中に透明ゴムひもを差し込んで、UVライトを照射。
30〜45秒ほどで、背面に透明ゴムひもが2本刺さった六角形の小さなボタンの出来上がりです。
透明ゴムひもをネジ穴に2本とも通すと、下の写真の右端のようになります。
UVレジンで透明ゴムひもを胸椎と肋骨に接着
この改造を思いついたときは、ネジ穴に通した透明ゴムひもは2本とも胸椎側(一番上のネジ穴は頸椎などの高いところ)に接着するつもりでした。
その方が強度がありそうだったので。
ところが、ネジを外してわかったのは、鎖骨と金具でつながっている肩甲骨上部は比較的安定しているものの、下の方は腕の重みに流されてしまうということです。
そこで、定位置をネジで固定されていたときと同様とするため、背面(胸椎側)と前面(肋骨側)の前後から吊るように急遽、仕様を変更しました。
2本のうち、1本はそれぞれのネジ穴より少し高い位置にある胸椎棘突起の根元に接着。
これは菱形筋の起始に近いでしょう。
もう1本は肋骨の側面に接着します。
こちらもネジ穴より少し高い位置に接着する必要があっため、残念ながら、前鋸筋と全く同じというわけにはいきませんでした。
なお接着の作業時は、肩甲骨が動かないように、マスキングテープで肩甲骨を肋骨に固定させていました。
完成
接着箇所の先の余分な透明ゴムひもを切り落として、完成です。
透明ゴムひもと無色のUVレジンなので、それほどの違和感はないと思います。
腕を挙げれば、肩甲骨も動きます。
現実の私たちの骨格ほどの可動域はありませんが、腕を挙げれば肩甲骨が動き、鎖骨も動くということは伝わるので、今はこれで充分でしょう。
プラスティックの骨格模型なのに、ネジで留められていたときよりも、自由で柔らかい印象を受けるのは不思議です。
強度については不明なので、今後、使用感などと合わせて、レポートしていきたいと思います。
おまけ
購入当初からなのですが、この骨格模型は顔が少し左を向いています。
製造の甘さが出ているのかもしれませんが、ある意味、これもこの子の個性と割り切っています。
筆者も左にちょっと顔を向ける習慣があるので、これも縁というものなのでしょう。
材料等のリンク一覧
・骨格模型
手が届く価格で関節の可動性などが理想に近いのがこちらでした↓
【2023年8月追記】frugolio casa以外のメーカーの製品も混ざっているようなので、購入時には気をつけてください。
筆者の骨格模型は、肩甲上腕関節も股関節も白いゴムひもとゴムひもストッパーが使われているので、屈曲・伸展・内転・外転・内旋・外旋ができるタイプです。
購入したのは2022年4月で20,000円弱でした。あまり安いと違うメーカーかも。
・シリコンゴム
透明ゴムはアクセサリー制作に留まらず、色々と活用できる優れモノです。今回は直径1mmを使用↓
・シリコンモールド
シリコンモールドは以前になんちゃって貴石を作ってみたくて買ってあったジュエリー型を使いました。
こちらのヘキサゴンですが、今回のようなボタンを作るなら、シンプル ドーム&オパールもいいですね↓
・レジン液
UVレジン液はシリコンモールドと同じく、ユザワヤでお得セットのようなときに買ったものですが、今は100均ショップでも手に入りますね。
UVレジンは壊れたプラスティック製のものを修理するにも役立ちます。質が高くて有名なのはこちらのブランドのようです↓