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陰ヨガのポーズを考える|スリーピングスワン③リラックス効果の理由

Body Mapping

陰ヨガの代表的なポーズである、スワンとスリーピングスワンを解剖学的に考察するシリーズ第3弾。
このポーズには股関節の柔軟性を上げる、骨盤の歪みを整えるといった、お尻や股関節周辺へのフィジカルな効果に加え、精神的なリラックスを促す効果もあります。
今回は脊椎と後ろに伸ばしている脚から、脊椎への刺激について考えます。

スワンとスリーピングスワンで脊椎を刺激

陰ヨガでは、スワンとスリーピングスワンをセットでシークエンスに組み込むことが多いです。
スワン系の基本的な体勢は、四つん這いのテーブルポジションから片膝を両手の間に着く、あるいは股関節で太ももを外旋させて、手の位置よりも外側に膝を着いて、お尻を床に着けます。
もう一方の脚は後ろへ伸ばします。
そして、軽く上体を反らすのがスワン、次に上体を前方へ寝かせるのがスリーピングスワンです。

スワンでは脊椎に圧をかける

脊椎は構造上、丸まったり前屈するには優位で、普段の生活でも上体を反らして後屈するという動作はあまりありません。
スワンは安定した体勢で、無理をしない程度に脊椎を後屈させます。
習慣的に縮んで固まっている脊柱起立筋群などの背中と腰の筋肉に、緩やかな圧をかけることができます。

キープの時間も少し短めの1〜2分くらいが目安です。

スリーピングスワンでは脊椎を伸ばす

スワンに続いて、上体を後屈から前へ寝かせることで圧から解放し、さらに脊椎を伸ばす方向にもっていきます。
キープ時間をスワンより長めにとって、圧からの解放を味わいます。

このように圧と解放を合わせることで、普段固まりやすい脊椎周りを刺激し、リラックスを促します。

脊椎の運動での注意点

スワンで後屈をするとき、無意識に反らそうとすると、頭を胴体の方に引っ込めながら、椎骨と椎骨の間を詰まらせるようにして縮めてしまいます。
それは首や背中を固めたまま、無理やり反らせようとしているようなものです。
また、最も動きやすい腰椎だけで調整しようとしてしまいがちです。
後屈するときは、うつ伏せから上の方向に上半身を起こすというより、頭が斜め前の方に向かって上がっていき、首や胸がそれについて順番に上がっていくと思ってください。

逆にスリーピングスワンで上半身を床に寝かせるときには、胸やお腹から床に着けようとすることが多いです。
そうするとやはり、頭を胴体の方に引っ込め脊椎を縮める状態になり、圧から解放される効果が存分に活かせません。
上半身を寝かせるときは、頭が前の方に伸びながら降りていくと思ってみてください。
同時につま先は後ろの方に伸びていくと思うと、頭から脊椎、脚までの圧からの解放がより効果的になるでしょう。

おわりに

スリーピングスワンは主にお尻の外側をストレッチを目的とすることが多いです。
同時に、スワンとセットにして脊椎へのアプローチもできるポーズでもあります。
脊椎に圧をかけるにしても、お尻をストレッチするにしても、自分の身体のデザインに伴った動きでできれば、どちらも効果的に行えるでしょう。

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