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陰ヨガのポーズを考える|スリーピングスワン①お尻が伸びる理由

Body Mapping

陰ヨガの代表的なポーズのひとつ、スリーピングスワンを解剖学的に考察します。
片方のお尻の外側に深いストレッチを加えるポーズです。
股関節の柔軟性を上げる、骨盤の歪みを整える、脊椎に刺激を与えるといった効果があります。

スリーピングスワンのポーズとは

陰ヨガにおけるスワンとは、ハタヨガの鳩のポーズの上体を倒したバージョンに似ています。
テーブルポジションから片脚の膝を両手の間に着ける、あるいは手を着いている位置よりも外側にもっていって脚を胡坐のときのようにして、お尻を床に着けます。
このときにお尻の下にブロックを置いて高さを作るなどして、腰や膝に負担がかからないように調節してください。
もう一方の脚は後ろに伸ばしたままで、軽く上体を反らすのがスワン。そこから上体を前に倒して完全に床にゆだねると、スリーピングスワンとなります。

ターゲットエリアはお尻の外側から太ももにかけて

ターゲットエリアはお尻の外側から太ももにかけての広い範囲で、筋肉で示すのであれば、主に大臀筋や梨状筋、そしてハムストリングに当たります。
大臀筋や梨状筋は骨盤の仙腸関節付近から太ももの骨(大腿骨)の大転子に向かって付着しているので、これらを最大限にストレッチするには、股関節において深い屈曲が求められます。

一方の脚を後ろに伸ばせば骨盤は前傾する

股関節の屈曲を効率的に行う条件のひとつが、骨盤が前傾していることです。
骨盤が後傾(後ろに倒れるような状態)だと、屈曲は主に腰椎で起こります。
スワンやスリーピングスワンでは、ターゲットエリアとは反対の脚を後ろに伸ばして、左右の脚を前後に開くような体勢を作ることによって、必然的に骨盤を前傾しやすくしています。

股関節を外旋させることで屈曲を深めやすくする

ターゲットエリアの方の脚は膝が外の方を向いて、足が内側に入っていますが、ここにも効果につながる理由があります。
股関節である程度まで屈曲すると、大腿骨の大転子が骨盤に当たって、それ以上は屈曲できないというところがあります。
しかし、股関節で外旋させて、大転子の向きを骨盤の邪魔にならないところにもっていくことによって、屈曲をより深めることができます。

さら、スリーピングスワンは上体を前に倒して、前脚に体重をかけるため、ハムストリングへの作用も深くなります。

おわりに

スリーピングスワンは脚が左右で違う複雑な動きをしますが、お尻をストレッチするという目的としては実に機能に適った動きです。
同時に前脚や上体で無理に頑張ろうとしてしまうこともあるので、腰や膝などに負担を掛けずに、ターゲットエリア全体を無理なくストレッチできるポジションを探してみてください。

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