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陰ヨガのポーズを考える|バタフライ②内転筋群をよりストレッチする仰臥位

Body Mapping

陰ヨガの代表的なポーズ、バタフライを解剖学的に考察するシリーズ第2弾。
バタフライは太ももの内側にある内転筋群を積極的にストレッチするポーズですが、座位(座ったポーズ)よりも仰臥位(仰向けのポーズ)の方がさらに効果的なことがあります。
座位と仰臥位で何が変わるのか、解剖学的に説明します。

太ももの内側をストレッチするポーズ

バタフライは身体の正面で両足の裏を合わせ、両膝を外に広げて、合蹠の形をとります。
両足のかかとを恥骨から遠ざけたり、近づけたり、あるいは上体を前に倒して自重で負荷を掛けたりして、太ももの内側がほどよくストレッチされるところを探します。

バタフライの脚を解剖学的に解説すると

このポーズのターゲットエリアである、太ももの内側の内転筋群(恥骨筋、小内転筋、大内転筋、短内転筋、長内転筋、薄筋)は、脚を閉じる、外に開かないように維持するといった動作のための筋肉です。
これらの動作を解剖学的に表すのであれば、主要な運動は股関節の内転と内旋です。
加えて、わずかながらも屈曲も連動して起こります。

バタフライの脚は、股関節でのかなり強力な外転と外旋を起こします。
このように股関節での外転と外旋を起こす動作は、日常生活ではあまりないため、座位で上体を前に倒すだけでも充分なストレッチとなります。

仰臥位(仰向け)は内転筋群のより積極的にストレッチする

バタフライには上体を前に倒した座位バージョンのほか、上体を仰向けにした仰臥位バージョンもあります。
仰臥位は身体を寝かせている分、腰や背中が解放されてリラックスしやすいでしょう。
そして、一部の人にとってはこちらの方が、太もものの内側をよりストレッチされているように感じると思います。

それは、座位から仰臥位に体勢を変えることによって、股関節での屈曲が伸展に移行するから。
座位バージョンでは、内転筋群が使われることによって起こる内転と内旋にしかアプローチできません。
内転筋群での屈曲はわずかなので、通常は座位バージョンでも充分ストレッチされていますが、仰臥位バージョンはこのわずかな屈曲にさえ積極的にアプローチするポーズなのです。

仰臥位(仰向け)でバタフライをするときの注意点

仰向けで寝ている体勢なので、のんびりした楽なポーズのように見えます。
でも、股関節での可動域を最大限に活かす体勢であるため、ストレッチとしてはかなり難易度が高いといえるでしょう。
腹筋などの余計な力も抜けるため、股関節、延いては膝の可動域まで変わってきます。
それによって、気付かないうちにやり過ぎて、股関節や膝に無理をさせることも多いようです。
座位のとき以上に、ブロックやブランケットで膝の下に支えを作るなどの注意をしてください。

おわりに

バタフライのポーズは解剖学的にみると、座位バージョンより、仰臥位バージョンの方がハードです。
太ももの内側をストレッチすることに慣れていないのであれば、いきなり仰臥位をとるよりも、まずは座位で数分、その後に仰臥位で数分と段階を追うようにするといいでしょう。

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