ハスヨガマガジンの「ヨガの中でいちばん運動量が少ないのは陰ヨガ?リストラティブヨガ?【使える解剖学】」で、ポーズをキープして痛みを感じたら、頭から尾骨までの長さを思い出すと効果的だと紹介しました。 身体の部分で起こる痛みと、頭から尾骨までの長さを思い出すことにはどんな関連があるのでしょう? 陰ヨガで最もよく行われている前屈系のポーズを例に考えてみたいと思います。

陰ヨガって地味にキツイ?
陰ヨガはひとつのポーズを3〜7分ほどキープするのが特徴です。その代わりに立位やバランス系、腕で支えるようなハードなポーズはほとんどありません。
座位や仰向け、うつ伏せで無理に頑張らないポーズが主流です。
また、支えを作るために様々なプロップスをあらかじめ多めに用意してから始めます。
しかしながら、ハタヨガやヴィンヤサ、アシュタンガなど、呼吸に合わせて動くことに慣れているヨギにとっては、優しいポーズでの長時間のキープが逆にキツイという声も聞きます。
ポーズを長時間キープする理由
陰ヨガには「身体のこの辺りにアプローチしよう」というターゲットエリアと呼ばれるものがあります。
前屈系なら、お尻や太もも、ふくらはぎ、足首などの脚の裏側全体のストレッチとなるでしょう。
他の流派でも同じようにストレッチはできるのですが、ハムストリングなど、局所的な筋肉のストレッチになることが多いです。
それに対して、2分3分と時間をかけることによって、ハムストリングやヒラメ筋だけではなく、お尻から足首までの筋肉、それらをつなぐ腱や靭帯、さらには筋肉、腱、靭帯などを覆うファシア(筋膜)まで伸びてきます。
ポーズを維持しようとして逆に身体を固める
ポーズを長時間キープすることに慣れていないと、前屈を維持しよう、前屈を深めようといった思いにとらわれることがあります。
そして、無意識に頭を脊椎の方に引っ込めて、身体を固めるのです。
骨格の軸である脊椎が引っ込められると、連結している股関節などにも負荷がかかって動きにくくなります。
前屈をキープしていて、脚の裏側全体の伸びよりも別のところが痛い、重いと感じたら、たいていは頭を脊椎の方へ引っ込めています。
まずは軸を引っ込めるのをやめるところから
そんなとき、頭から尾骨までの長さを思い出すという方法が役立ちます。
これは一種のイメージ法です。
頭から尾骨までの骨格を思い描くのいいですし、実際に頭頂部を触って「これが自分の頭」と筋感覚を使うのもいいでしょう。
イメージだけで緊張がとけて、上半身が伸びます。
上半身が伸びることによって、深めた前屈が戻ったと感じるかもしれません。
でも、脚の裏側全体の伸びは前よりも感じるはずです。
おわりに
陰ヨガでは、ポーズに入った時点から「しっかり伸びてる」を目指すものでもありません。
始めは「何となく伸びてる」、時間と共に「だんだん伸びが深まってきた」、最終的に「心地よくしっかり伸びた」といった過程を大切にするのです。
その過程で身体を固めていることに気付いたら、頭から尾骨までの長さを思い出すというのを試してみてください。
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