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股関節と膝の構造からみる効率的な動かし方

Body Mapping

ハスヨガマガジンの「牛の顔のポーズの“痛い”“できない”、それってホント?動きを分析しよう あし編」で、脚を組むポイントとして、立てた膝を外側に倒すときに「膝が自分から離れていく」と思いながら動かすと紹介しました。 「膝が自分から離れていく」と思いながら動かすことにどんな効果があるのでしょう? この記事では、股関節や膝の構造の解剖学的な解説を交えて、脚で起こりやすい習慣について考察します。

骨盤と大腿骨が形成する股関節

骨盤と大腿骨(太ももの骨)のつなぎ目が股関節です。
骨盤は身体の中でも非常に幅があって、大腿骨はその骨盤から身体の内側に向かって、斜めに走るようについています。

大腿骨と脛骨が形成する膝関節

次に膝関節です。大腿骨の先は脛骨(すねの骨)につながっています。
大腿骨の先は滑車が2つ並んだような形状をしており、内側の滑車の方が大きく、外側の方が小さくなっています。
それ故、自然と外側に向かうように膝は曲がります。

脛骨のほかに腓骨もありますが、腓骨は脛骨より短く、大腿骨と直接は接してはいません。

脚はXを描くようについている

骨の形には個人差があるため、大腿骨の斜めの角度や滑車の大小の差は大きい人も小さい人もいます。
それでも基本的には、股関節から膝、足首にかけて緩やかなXを描くようについています。

太ももは内側に寄せたくなるけれど膝を曲げるには外側を意識したい

このような構造から、筋肉としては、股関節を内転させる(左右の太ももを内側に近づける)動きの方が外転させる(左右の太ももを外側に遠ざける)よりも得意なようです。
対して、骨格としては膝を曲げると外側に向かうようにできているので、動きに矛盾が生じます。
そうすると、股関節や脚を動かすお尻や太ももの筋肉(大臀筋、中臀筋、大腿四頭筋、内転筋など)を常に力んでしまいます。

自分の脚を見て、膝の向きがつま先の向きより内側というときは、筋肉に余計な力が入っている証拠です。

体育座りの時点でお尻や太ももが緊張している

牛の顔のポーズの脚の組み方に話を戻すと、体育座りをしている時点で、多くの人が無意識に股関節の内転を強めるようにして膝を立てています。
牛の顔のポーズのように脚をタイトに組むには、この力みが邪魔をしているというわけなのです。

身体が外へ伸びる、広がるイメージで動かす

そこで、立てた膝を外側に倒すとき「膝が自分から離れていく」と思いながら動かすことで、入ってしまった余計な力を解放します。
力が入っているとは、脚や手などの部分を身体の中心の方に引き込もうとしていることです。
ですから、引き込まれた身体の部分を外の方へ伸ばす、広げるというつもりで動かせば、邪魔な力みを減らしながら動かすことができるのです。

おわりに

「太ももの前に力が入ったまま抜けない」といったことを耳にしますが、骨格などの生まれながら構造に対して余計な力を入れることが習慣となっていることがあります。
脚の曲げ伸ばしひとつをとっても、「思わずやってた」という動きがあるはず。
そういったものの積み重ねが、ヨガのポーズをやりにくくしている原因となるので、「何を思わずやっているか」に注目してみるといいと思います。

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