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伸びを感じるためにヨガのポーズをしているのか?

Thinking Body

ハスヨガマガジンの「ヨガの心地よい感覚を生徒さんに受け取ってもらいたい。どうやって誘導する?ヨガインストラクターのスキルアップ」で、「感覚を受け取る」ということにフォーカスして、感覚に対してどう向き合っていくのかについてお話しました。
ヨガでは感じることに注力を向けることが多いと思いますが、そのとき身体では何が起こっているのでしょうか?
筆者の経験を基に「感じていると思っていること」と実際に身体がやっていることにについて考察します。

ポーズの効果を味わってもらいたくて「伸びを感じましょう」

筆者がヨガのレッスンを受けているとき、前屈系のポーズなどで「太ももの裏の伸びを感じましょう」というように、取っているポーズのクライマックスとして「〜の伸びを感じましょう」と言われることがありました。
筆者自身、インストラクターになったばかりの頃、同じように生徒さんに言った覚えがあります。
ポーズのアライメントを説明しながら誘導して、最後に効果を言葉にすることにより、ポーズの効果を味わってほしいという狙いがありました。

「伸びを感じなきゃ」と焦る

実際に前屈をしているときは太ももの裏の伸びは感じていて、「気持ちいい」と満足していました。
でも同時に、太ももの裏以外のところ、お腹や背中辺りに違和感も感じていました。
太ももの裏は伸びて気持ちいいのに、全身としては力が抜けていなくて何かスッキリしない、そんなジレンマがあったのです。

振り返って思い起こすと、「伸びを感じましょう」と言われて「伸びを感じなきゃ」という義務感がいつの間にかあったのだと思います。
ある程度ポーズに慣れてくると、次は「もっと伸びるはずだ」とか「この前のようにちゃんと伸びているだろうか」などと、過去に感じたことと照らし合わせてしまっていました。

伸ばそうとして余計な力が入る

「伸びを感じなきゃ」という義務感は、無意識に「その部分を伸ばそう」という頑張りに変わります。
身体はその頑張りを叶えようとして、その部分だけに意識を向けて、身体の別の部分では余計な力を入れて帳尻を合わせようとするものなのです。
前屈の例では太ももの裏を伸ばしたいがために、太ももの裏にばかり意識がいっていました。
その代わり、下腹部や背中には余計な力が入っていました。
つまり太ももの裏を伸ばそうと思えば思うほど、上半身を緊張させていたのです。

動いた結果の効果か、効果のための動きか

ヨガのポーズとは、全身にある様々な関節で骨が動いた結果、ある特定の部分(筋肉)が伸びたり、縮んで鍛えられたりといった効果として現れるものだと思います。
ところが効果という言葉に囚われると、特定の部分を伸ばす(あるいは鍛える)ために、全身ではなく、特定の部分にまつわる関節だけで無理やり動くという、逆転した思考で身体を動かしてしまうことになってしまいます。

おわりに

伸びを感じるということは、そのポーズを行っている本人が伸びているという情報を受け取る、ただそれだけのことです。
「これで伸びているのだろうか」「もっと伸びるんじゃないか」など、受けた情報からあるかどうかもわからない情報を探しにいくようになると、身体は緊張し始めます。
なので、「伸びを感じる」前に「ポーズを取る」を意識してみてはいかがでしょうか?

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