ハスヨガマガジンの「ヨガ中の緊張と弛緩の効果を最大限発揮させるために必要な、たった1つのこと」と本サイトの前の記事で、私たちの身体は日常的な緊張状態になってしまっているとお話しました。
では、緊張とはどういう状態を指しているのでしょうか?
この記事では、ストレスなどの精神的な刺激の一方で肉体で起こっていることを解剖学的に考察します。

緊張の始まりは頭と頸椎から
緊張するということを動作として観察すると、動作の始まりは頭を胴体の方に引っ込めることです。
もっと正確に言うと、頭蓋骨と頸椎の1番2番を引っ込めることで押し固められ、本来の動きが制限されてしまう状態です。
この辺りには頭を動かすための後頭下筋群や胸鎖乳突筋、脊椎のバランスをとる脊柱起立筋群の上部などが集まっています。
また眼球を動かす筋肉も、頭蓋骨と頚椎のつなぎ目である環椎後頭関節(AOジョイント、トップジョイント)のすぐ上に付着しています。
頭によって頸椎が押し固められると、これらの筋肉が縮んで動けなくなってしまうことになります。
頸椎が動けなくなると胸椎と肋骨も動けない
頸椎が押し固められて動けなくなると、その下につながる胸椎も押し固められます。
胸椎は肋骨とつながって、肺が収まっている胸郭を形成しているので、胸椎が動きにくくなるということは肋骨や、その中の肺の動きまでも制限することになります。
つまり、深い呼吸ができない状態です。
頸椎と胸椎が動けなくなると腕も動けない
腕は鎖骨を通じて、胸郭の中央にある胸骨とつながっています。
前述の通りに胸郭の動きが制限されていると、その影響は鎖骨、肩甲骨、腕に広がります。
また、緊張というのは身を守る防衛反応ですから、腕は胴体の方へ引き寄せたくなるものです。
そうするとさらに腕の可動性が失われ、肩に力が入っているといった状態を作ります。
胸椎が動けなくなると腰椎と股関節も動けない
胸椎に戻るとその下には腰椎、仙骨、尾骨がつながっていて、骨盤を形成しています。
骨盤の下に股関節があるので、頸椎、胸椎の押し固めは腰椎から股関節にも連動して起こります。股関節は膝、足首の3カ所セットで動くものなので、股関節が固まれば、それに準じて脚全体の動きも鈍くなります。
緊張を解くなら頭を意識する
このような連鎖によって、全身の動きが制限されることが肉体に起こっていることです。
ですから緊張を解くには、頭を意識して、頭と首の押し固めをやめるところから始めるのが根本的なアプローチといえます。
私たちにとって鏡を見て顔を認識することはたやすいのですが、毛髪に隠れている頭の全体像まで認識するのは難しいと言われているので、意識をするよう心掛けることが必要でしょう。
おわりに
緊張すると息苦しくなるとか、肩に力が入るとか、一歩が踏み出せなくなるといったことを誰もが経験していると思います。
雰囲気に煽られ、ドキドキして何も考えられなくなりそうですが、その裏では身体は構造に沿った現象が起こっています。
この現象の原理に基づいて、頭を意識することで緊張を解こうとする肉体側からのアプローチを試してみるのもいいのではないでしょうか。
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