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どうして腕は後ろで組みにくいのか?肩の構造から考える

Body Mapping

ハスヨガマガジンの「牛の顔のポーズの“痛い”“できない”、それってホント?動きを分析しよう うで編」や本サイトの前の記事で、腕は鎖骨から始まっていると紹介しました。 では、背中で手をつなぐなどの後ろ手にすることが大変なのでしょうか? この記事では肩の構造をもう少し詳しく説明し、背中に手を回すポーズが辛くなる原因を解明していきます。

肩の骨と構造のおさらい

動作という視点からみると、腕は上腕骨と橈骨、尺骨だけではなく、鎖骨と肩甲骨も含まれます。
腕を動かすというと、上腕骨と肩甲骨のつなぎ目である肩甲上腕関節だけで動いているように思われがちです。
でも、首下にある胸骨と鎖骨のつなぎ目(胸鎖関節)や、鎖骨と肩甲骨のつなぎ目(肩鎖関節)も連動して動いています。

胴体は丸く、肩甲骨は前向きについている

次は肩甲骨に注目します。
肩甲骨は背中の左右の上の方にあります。
さて、背中という言葉によるイメージが肩甲骨の動きを邪魔していることがあります。
背中というとまっすぐな板のようなもので、肩甲骨も板と平行してついていると、多くの人が無意識ながら思っています。

実際は、肋骨が丸み帯びていることからわかるように、背中も円筒のように丸みがあります。
肩甲骨は円筒の円周に沿うようについているので、前の方に向かってついているのです。

腕は胴体より前で動くようにできている

この構造からいえるのは、肩甲骨の先にある上腕骨などの腕は胴体の前で動くようにできているということ。
視界に入る範囲内で動かすのが、一番動きやすいようです。
ちなみに人間の視界は約180度といわれています。

牛の顔のポーズでよくやっていること

牛の顔のポーズのように背中で手をつなぐような場合、やりがちなのは背中に手を回しやすくしようとして背中を反らしたり、胸を張ったりすることです。
これら動作は肩甲骨を背中の中央に寄せることになるので、背中の丸みや円周に沿った動きを無視したセッティングとなってしまいます。
そこから手首を返して、手を下から背中の真ん中に持っていこうとしたり、無理やり腕を挙げて上から手を背中に回そうとしたりすれば、痛くなるのは当然かもしれません。

視界の範囲でセッティングしてから背中に回す

そこで、腕を視界に入るように前に出して、そこで手を返してから背中に回したらどうでしょう?
腕を挙げるときは顔の前を通るようにして挙げて、そこから手を背中に回すようにしたらどうでしょう?
肩周りの動きが大分変わると思います。

おわりに

無意識で思い込んでいる身体のイメージと、実際の構造が食い違っていることはよくあります。
それによって関節の可動域が制限されてしまうこともよくあります。
背中は円筒のように丸みがあって、腕は前に向かって動くというと、ヨガのまっすぐでキレイなイメージとは異なるかもしれません。
それでも肩周りに窮屈さを感じることがあれば、これを思い出してみてください。

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