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前屈が苦手なのは股関節の屈曲以外の余計なことをやっているから

Body Mapping

解剖学に関心を寄せるヨギが増えてきました。
ヨガで解剖学を学ぶと、骨や筋肉の名称、筋肉の起始・停止を覚え、そこから考えられる屈曲・伸展などの運動をポーズと結びつけるという、筋肉を意識した考え方が多いようです。
そこで、筋肉を意識して身体を動かそうとするとどんなことが起こってしまうのか、前屈を例に考えていきます。

ヨガのポーズをするとき筋肉に頼ってしまう

解剖学を学んでいると「筋肉を収縮させることによって骨を動かしている」という事実に基づいてポーズをとろうと、本能的に意識が筋肉に向かいます。
ヨガではインナーマッスルを使うことの重要性も謳われているので、筋肉、特にインナーマッスルを「ちゃんと使いたい」と思うことでしょう。
ヨガに限ったことではありませんが、私たちは身体を動かそうと思ったとき、筋肉に頼って身体をコントロールしようとしてしまうものなのです。

筋肉を意識しても筋肉を単体でコントロールはできない

残念ながら、私たちは筋肉を単体でコントロールすることはできません。
例えば前屈で股関節を屈曲させるのに必要な筋肉は、腸腰筋(大腰筋+腸骨筋)というインナーマッスルであると教わることが多いでしょう。
でも「腸腰筋を使って股関節を屈曲しよう」と頭で考えたところで、腸腰筋だけで前屈できることは少ないと思います。

腸腰筋を意識した股関節の屈曲で起こりがちなこと

筋肉で身体を動かそうと思うと、どうしても必要以上に力が入るもの。
そのときに起こっているのは、頭を胴体の方へ引っ込めて固めるという緊張です。
多かれ少なかれ、ほとんどの人に起こっていることで、この緊張状態で「腸腰筋を使おう」という無理を強いるのが、筋肉に頼って身体をコントロールしようとする結果なのです。

そうすると、固まって使いにくいはずの腸腰筋の収縮を他の筋肉(脊柱起立筋群やお腹の腹直筋、太ももの大腿四頭筋など)で本能的に補おうとして、お腹を引き締めたり、腰を固めたり、太ももに力を入れたりと、本来は使いたくない筋肉が余計なことをし始めます。

前屈をしていて、股関節の動きに違和感を感じるとか、背中や腰に硬さや痛みを感じるといった不調を感じる原因として、本来使いたくない筋肉が余計なことをしているからが挙げられます。

意識を「骨が動く」に変えてみる

そこで身体を動かすとき、「骨がどう動いているのか」に意識をシフトしてみてはいかがでしょう?
股関節は、骨盤の寛骨臼という皿の部分と大腿骨の大腿骨頭というボールのような部分で、関節を成しています。
皿でボールがコロコロと転がるようにして、屈曲・伸展・内転・外転・内旋・外旋の運動ができるようになっています。
そして屈曲という運動は「大腿骨に対して、骨盤が股関節を軸に円を描くようにして倒れていく」というものです。

それを踏まえて、「股関節で骨盤が倒れることによって前屈できる」と思って前屈してみてください。
何も考えない筋肉に頼った前屈とは、ポーズの深まりやストレッチされるところなどがかなり変わると思います。

おわりに

反対に「股関節で骨盤が起き上がる」という意識すれば、前屈から上体を起こすときやロールアップで下から順番に身体を起こすときに有効です。
特にロールアップするときに下から順に起こしているつもりでも、どこかぎこちなさを感じるなら、この「股関節で骨盤が動く」という概念が抜けていることが大きいので、ぜひ試してみてください。

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