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陰ヨガのポーズを考える|ハーフバタフライ2 片脚ずつ前屈する理由

Body Mapping

前の記事「陰ヨガのポーズを考える|ハーフバタフライ1 股関節の屈曲とは」で、片脚前屈において股関節でどのようなことが起こっているのか、それによって脚の後ろ側にどんな効果がもたらされるのかを解剖学的に解説しました。陰ヨガでは両脚共に伸ばした長座前屈と同様に、片脚前屈もポピュラーです。そこで今回は、片脚ずつ前屈することによって、骨盤と股関節においてどんな変化があるのかを考えます。

バタフライとは合蹠のポーズの脚の形

陰ヨガでは合蹠のポーズをバタフライのポーズと呼びます。
解剖学的に説明するなら股関節で屈曲と外旋、膝関節で屈曲が起こっています。
両脚を共にバタフライの形にして、左右の足の裏と裏を恥骨の前で合わせているときは、太ももの内側をストレッチすることが主な目的とされます。
また、片方の脚を長座のように伸ばした状態と組み合わせることによって、片脚前屈として利用するケースも多く、ハーフバタフライのポーズと呼んでいます。

片脚ずつに分けて前屈を行う理由①「無理をさせない」

ハーフバタフライというポーズ名がかなり耳に馴染んでしまうほど、陰ヨガのクラスでは片脚ずつに分けて前屈を行うケースが多いです。
ターゲットエリアである脚の後ろ側全体をストレッチするという目的としては、両脚を伸ばした長座からの前屈が効果的ではありますが、場合によってはストレッチが強すぎてキープするのが難しくなることがあります。
そのため、時間と共にじっくり馴染ませるようにターゲットエリアにアプローチできる、片脚ずつというやり方が好まれるようです。

片脚ずつに分けて前屈を行う理由②「効果的な状態を作る」

片脚ずつに分けるもう一つの理由は、一方の脚を長座から解放することによって、股関節にかかる動きの制限を減らすことにあります。
そこには骨盤を前傾・後傾が大きく関係しており、片脚をバタフライにすることで後傾しやすい骨盤を前傾させるという狙いがあります。

脚(太もも)の後ろ側を効果的に伸ばす条件

脚の後ろ側を効果的にストレッチするには、「坐骨が膝から離れていく」という状態を作る必要があります。
別の言い方をすれば「骨盤を前傾気味である」ということです。

両脚を正面に伸ばすと、太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)に力が入りやすくなり、それに引っ張られてお腹の筋肉(腹直筋など)が縮みます。
そうすると脊椎のカーブを維持できなくなって、骨盤が後ろの方に寝る、つまり骨盤が後傾した状態にが起こります。

片脚を合蹠にすることで、太ももやお腹に入った力を抜けやすくして、骨盤前傾の状態にもっていきやすくするわけです。

おわりに

脚の後ろ側のストレッチには骨盤が前傾していることがポイントです。
両脚を伸ばした長座だとどうしても骨盤が寝てしまうというときには、骨盤を前傾にもっていきやすい片脚ずつから始めるといいと思います。
さらにお尻の下にブロックやブランケットを敷いて、坐骨を脚よりも高い位置にすると、より前傾しやすくできるでしょう。

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