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言葉が動作やヨガのポーズに与える影響とは

Body Mapping

ハスヨガマガジンの「『グラウンディングの誘導のポイント』尾骨を下げる?たくしこむ?どちらの言葉えらびが正解?|ヨガインストラクターのためのスキルアップ」で言葉選びによって身体の使い方が変わり、ポーズの効果も変わってくるというお話をしました。
この記事では、前屈をするときに「思わず考えてしまっていること」を例にとって、言葉が実際に身体にどう影響するのかを考えていきたいと思います。

前屈をするときに考えていること

前屈が苦手だという人に、何をしているのかを実況中継しながら前屈してみるようにお願いしたとしましょう。
するとその人は「背中をまっすぐにして」と言いながら、左右の肩甲骨を寄せて胸を張り、さらに腰椎を反らせます。
次に「股関節で前屈する」と言って、お尻を後ろに少しつき出すようにし、同時に胸椎や腰椎をもっと緊張させて前屈します。
最後に「頭を床の方に降ろして重力に任せる」と言って、頭が床に近づいた辺りから急にあごを突き出して顔を床に近づけます。

以上のようなことは、無自覚ながら、多くの人が前屈をする際に実際に行っていることです。
そこには長年のレッスンで注意されてきたことや良い姿勢をしなければならないといった固定概念が積み重なって、動作を制限してしまっていることが伺われます。

背中はまっすぐではない

良い姿勢の基本として「背中をまっすぐ」とか「背すじを伸ばす」というような言葉はよく使われます。
ある種の比喩であり、猫背を防止する意味で使う場合もあるでしょう。
しかしながら、私たちの脊椎は小さな骨が積み重なって緩くカーブしているので、まっすぐではありません。
上体を起こして頭を支えるために首、背中、腰のそれぞれがカーブを作り、バランスを保っています。
そのカーブしているところに筋肉がついて、外から見ると「まっすぐっぽく見える」のです。
そこを理解せずにただまっすぐと考えると、脳は背中を一直線にしようとしてしまい、肩や肩甲骨、腰椎に無理をさせようとします。

股関節の位置が明確ではない

まず、股関節のソケットの位置が身体のどこにあるのかを正確に認識している人は少ないです。
骨盤は身体の中でもかなり大きな塊で、股関節はその中の一部です。
しかも上部では腰椎とつながっているため、股関節を使っているつもりでも実は腰椎を使っているということもあります。
股関節のソケットは恥骨と坐骨の間の辺りになりますが、稼動する部分がもっと大きくて広いと思われがちです。

また「股関節から前屈」と言ったときに、二つ折りにした紙など、前屈をイメージさせるものがあるかもしれません。
これも「背中をまっすぐ」と同様、イメージに身体を合わせようと無理をすることがあります。

他動詞は自分の身体を無理に使役したくなる

「頭を床の方に降ろす」であごを突き出すようにして顔から床に近づけるというのも、言葉による呪縛かもしれません。
「〜を降ろす」「〜を下げる」などの他動詞は時として暴力的です。
目的語となる身体の部分(この場合は頭)を自分と切り離して、使役しようとすることがあるからです。
そうすると、首などに余計な力が入り、本来思っていたのとは異なる動作となって現れることになります。
自分を使役しようとする他動詞よりも、「降りる」「下がる」など、自分からと思えるような自動詞で考えた方が効果的な場合もあります。

おわりに

言葉による影響は人それぞれで、上述の表現が悪いというわけではありません。
でも、何気なく使っている言葉が身体に緊張を強いているせいで腰が痛いなどの不調につながっている可能性もあります。
無意識に頭の中で考えているとき、あるいはインストラクターとして生徒さんを誘導するとき、どんな言葉を使っているのかを見直してみるといいかもしれません。

↓元ネタのハスヨガマガジンの記事↓

https://www.hasyoga.net/magazine/yoga-base-lab-how-to-led-grounding/

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