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背中はどこからどこまで?せすじの意味は?動きを変える思考術

Thinking Body

ハスヨガマガジンの「ヨガシークエンスよりも大事な言葉選び「背すじ or 背骨 or 脊柱」|ヨガインストラクターのためのレッスンプラン」では、それぞれの言葉に対する固定概念によって、動作そのものまで左右されることがあるとお話しました。
どうして言葉ひとつで身体の使い方まで変わってしまうのでしょう?
身体の中でも勘違いしやすい背中にフォーカスして、私たちの身体に起こっていることを考察します。

ヨガインストラクターは言葉の探求をしている

インストラクターは、どのような誘導で生徒さんを自分が考えるシークエンスに誘おうかと試行錯誤しています。
筆者もRYT200を取得した直後は、「姿勢を正す」という動作を自分なりに誘導するためにどんな言葉を使おうか迷った時期があります。
たまたま、当時知っている人たちに「背中をまっすぐに」といった言葉を使うことが多かったため、それなら「せすじを伸ばして」を使ってみようと安易に考えたものでした。

背中ってどこだろう?

背中といってもどこを意識するのかは人それぞれです。
具体的にどこを背中を思っているのかを確認してみると、肩甲骨の間だったり、肩の端から反対の肩の端までだったり。
人によっては首の下の方から腰辺りまでの範囲を思っているかもしれません。

せすじって何だろう?

せすじも実に曖昧な概念の言葉です。
検索すると、背中の中心線とかくぼんだところといった説明があります。
日本語ではよく耳にする言葉ですが、背中の中心線とはどこからどこまでなのか、何をもってくぼんでいるとするのかなど、ツッコミどころは満載です。

背中のつもりが違うところを動かしている可能性も

また、背中は肩甲骨の間という認識のつもりでも、実際に動かしているのは腰の骨の上の方だったなんてこともあります。
背中は他の身体の部分と違って、ベタベタと触れるところではありません。
直接、見て確認できるところでもありません。
だから、余計に勝手なイメージが膨らみやすいともいえます。
このイメージが概念となって、「私の背中は肩甲骨の間だから、そこを何とか動かさなきゃ」と自分自身に命令するようになるのです。

なぜ解剖学を学ぶと良いのか?

解剖学を学ぶと、概念の勘違いで動かしていたところをアップデートできます。
注意したいのは、骨や筋肉の名前を覚えるのが重要なのではなく、私たちの身体を構成する骨がどのような形をして、身体のどの辺りにあるのかをイメージできること。
そして、そのイメージが動作と結びつけて発展できることです。

おわりに

言葉の定義が、その人の行動そのものに影響することはよくあることです。
背中という言葉に対するイメージひとつをとっても、それによって身体を固めて本来よりも動けない状態にしていたとしたら、非常にもったいないことだと思いませんか?
もし、背中が緊張している、腕が動かしにくいなどの気になることがあったとき、それまで背中に対してどんなイメージをもっていたのかを確認すると変わるかもしれませんよ。

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