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呼吸が苦手?呼吸は「する」ものではなく「自然にやっている」もの

Thinking Body

ヨガと呼吸は切っても切り離せない関係で、多くのヨギが呼吸について毎日ように考え巡らしていることでしょう。
でも中には、ヨガの呼吸法が苦手、呼吸について考えると苦しくなるという人もいると思います。
筆者もそのひとりです。
そこでこの記事では、筆者が考える呼吸について紹介します。

深い呼吸を心掛けていたら咳喘息に

筆者がヨガを始めた頃、レッスンの始まりはたいてい呼吸法の練習でした。
それまで呼吸に意識を傾けるということがほとんどなかったため、それが新鮮に思え、「ヨガは呼吸が大切」「深い呼吸をしよう」と心の中でくり返していたものです。
ところが、呼吸を深くしようと意気込むあまり、無理やり呼吸をしようとして、いつの間にかお腹や背中に余計な緊張を強いるようになっていました。

緊張しながら無理やり呼吸をするのが普通になり、息苦しい状態が日常化しました。
そして、一旦、咳が出たら止まらないという咳喘息となったのです。

緊張すると息苦しい理由

その後、解剖学を通じて身体の構造と呼吸の仕組みを理解しました。
その中で、自分は呼吸といえば肺をイメージしがちで、空気の通り道である気道にはあまり目を向けていなかったことに気付いたのです。

気道は肺から口腔まで、脊椎に沿って通っています。
「呼吸をしよう」と意気込むと誰でもわずかながらに頭を胴体の方へ引っ込めて、脊椎を縮めるという緊張状態を作るものです。
脊椎に沿っている気道も、それに伴って通り道が押しつぶされ、空気の通りが悪くなるわけです。

筆者の場合、それでもさらに「もっと空気を取り込まなきゃ」と意気込んでしまっていたので、より緊張させて空気の通りを悪くするという悪循環に陥っていたようです。

開き直って呼吸のことは忘れる

そこで、筆者は呼吸について考えるのをやめました。
呼吸は自分の意思とは関係なく、勝手にやってくれるものだから。
それよりも空気の通り道が通りやすい状態であることの方が重要で、それさえ確保されていれば、身体は呼吸を自然にやってくれると思うようになったのです。

代わりに頭と脊椎のことを考える

呼吸しようと思う代わりに、頭と脊椎に意識を傾けることで、空気の通り道が通りやすくなるように心掛けるようになりました。

例えば「頭は思っているよりも高い位置にある」と思うだけで、胴体に向かって引っ込めていた状態から解放されます。
あるいは「背中は上にも横にも前にも広がっていく」と思うだけで、肋骨がそれまでよりも動くようになります。

おわりに

ヨガにおいて呼吸がとても重要なのは事実です。
ただ呼吸を意識しすぎると、身体の余計なところに緊張を強いて、逆に呼吸しにくい状態になってしまうこともあります。
もし息をしようと思って息苦しくなることがあれば、呼吸以外の別のことを考えてみるのもいいかもしれません。

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