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陰ヨガとは② なぜ一つのポーズに色々なバリエーションがあるのか?

Thinking Body

陰ヨガの魅力について考えるシリーズ第2弾。
心身を休め、自分と対話ができる静的なヨガが注目を集めています。
中でも陰ヨガは、ハードではないポーズを時間をかけて行うことで、リラックスはもとより、関節の可動域を広げて柔軟性を上げるといった身体的な効果も望めるとして人気が高まっています。
今回は陰ヨガの特徴的な手順であるポーズのバリエーションの意義について、解剖学視点で推察していきます。

陰ヨガの効果を上げるための重要な手順

陰ヨガは一つのポーズを3〜5分ほどキープすることは知られています。
ところが、皆が一様に同じポーズをしなければならないわけではないことなどはあまり知られていません。

例えば、脚の裏側をターゲットエリアとして、全体がストレッチできるようにハーフバタフライ(片脚前屈)をするとしましょう。
インストラクターは折り畳む方の脚を合蹠にしたハーフバタフライを最初に紹介しますが、「人によってはこちらの方がストレッチ感があるかも」と一言添えて、合蹠から横座りにしたハーフフロッグも提案します。
生徒はハーフバタフライもハーフフロッグもどちらも試してから、そのとき自分にとって心地よくストレッチできる方を選びます。

このように、ポーズのキープに入る前に多様なバリエーションを試してみるのが、陰ヨガの手順の上ではとても重要です。

骨格は人それぞれに個性がある

ではなぜ、そんなにバリエーションを試す必要があるのでしょう?

理由は私たちが生まれもっている骨格にあります。
骨は基本的な構造は変わらないものの、一つひとつの大きさや形が人それぞれに異なり、実に個性的です。

骨盤ひとつをとってみても、股関節を構成する寛骨臼の向きが正面の方を向いているもの、横の方を向いているものがあります。
寛骨臼が正面に近い方を向いていると、そこにつながる大腿骨が内股気味になります。
寛骨臼が横の方を向いていれば、反対に外股気味となるわけです。
内股気味の人と外股気味の人では、前屈で股関節を屈曲させたときに心地よいと感じるつま先の向き、膝の曲げ具合などが異なります。

様々な姿勢や違うポーズを試して自分のポジションを探す

インストラクターやメディアで見かけるお手本を見て、前屈はつま先を天井に向け、膝を伸ばして行わなければといつの間にか思い込んでいることがあります。
でも、お手本のポーズがその人の骨格にとっては理想のポーズではない可能性もあるのです。

それ故、陰ヨガのインストラクターはポーズのバリエーションという選択肢を提示して、生徒自身が試して選ぶというプロセスが必要になります。
ハーフバタフライとハーフフロッグというように違うポーズを紹介することもあるでしょう。
また、膝やつま先の位置をずらすように誘導することでその人の骨の形にとって収まりやすいようにしたり、もともと柔らかい人には上半身にひねりを入れることでさらに深いストレッチをうながしたりします。
だから、生徒が自分のポジションを探す時間を1分以上とることもあるのです。

おわりに

理想のポーズを目指すのではなく、自分に合ったポーズを探すのが陰ヨガです。
解剖学などの専門的なことは知らなくても、「膝を伸ばしたままより曲げて前屈した方が脚の後ろ側全体がストレッチされている」というように、体験で実感できるものです。
陰ヨガをするときにはポーズの常識に捕らわれずに、身体が動きたいように動かして、自分のポーズを探してみてくださいね。

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