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陰ヨガとは④ なぜ心身のストレスから解放されるのか?

Thinking Body

陰ヨガの魅力について考えるシリーズ第4弾。
陰ヨガはストレスからの解放やリラックスに効果的だとよくいわれます。
そこで今回は陰ヨガでストレスがどのように解放されているのかを、自分の身体に何が起こっているのかという解剖学的な側面と、何を考えて身体を動かしているのかという思考的な側面から考察します。

ストレスを肉体的な側面から考える

ストレスとは緊張です。緊張とは頭を胴体の方へ引っ込めて身体を固めることです。
軸である胴体(首、背中、腰、お腹)が緊張して固まっていると、腕、股関節、膝、足首なども連動して必要以上に力が入って、動けなくなります。
これが慢性化すると、筋肉を覆っている膜の層である結合組織が癒着して滑りが悪くなるという現象になります。
結合組織は一個一個の筋肉を覆うだけではなく、筋肉と筋肉、そして全身をつなげる役割もあるため、滑りが悪くなればさらに身体が硬くなるという悪循環に陥るのです。

結合組織に滑りと弾力が戻るので、肉体的にも解放される

癒着してしまった結合組織に滑りと弾力を戻すには、緩やかなストレッチや圧を1〜2分以上かける必要があります。
陰ヨガが無理にポーズを深めずに、「心地よい」と思う程度の緩やかさでポーズを3〜5分もキープするのはそのためです。
ポーズをとり始めは強ばっていたものの、キープしているとその強ばりが解けきたという経験がある人が多いと思います。
また、キープしているうちにガクリと力が抜けたように、急にポーズが勝手に深まった瞬間を経験した人もいるかもしれません。
それこそ、結合組織が滑りと弾力を取り戻したということなのでしょう。

ストレスを精神的な側面から考える

私たちは五感をはじめとした感覚受容器から、多種多様な情報を受け取り続けています。
暑い・寒いとか、痛いとか、何が見えるだとか、何かの臭いがするとか。自覚している以上に膨大な情報を脳は常に受け取り続けているものです。
そして無自覚なまま、自分にとってネガティブな情報には反応して防御の態勢をとり、ストレスとなって溜まっていきます。

これに加えて私たちは、過去のことを悔やんだり、未来のことを不安に思ったり、周りの人のことを気にかけたり、思考が忙しなくなりやすい環境にあります。
そうすると、やはり身体は見えない不安に対して防御態勢をとって、硬くしたくなるものなのです。

自分の身体を意識することで情報を整理する

ヨガはどのような流派であっても、たいていはポーズを行ったり、呼吸法で呼吸を調えたりと、自分の身体を意識することが求められます。
そうすると、必然的に「自分の身体をどう動かすか」に意識が向けられます。
特に陰ヨガは、ターゲットエリアにアプローチするために様々なポーズのバリエーションから自分にとってはどれが効果的かを、身体と相談しながら時間をかけて行うプロセスがあるので、「今、自分が行うべきこと」に集中するにはもってこいだといえます。
雑多な情報から必要な情報を取捨選択し、ポーズとして還元することで、脳内を整理できます。

おわりに

陰ヨガにおいて、ポーズを長時間キープすることは、全身を覆っている結合組織の滑りと弾力を取り戻すという肉体的・解剖学的な側面からストレスを解放しています。
そして、その日の状態に合わせて自分のポーズを探すという手順は、自分の身体を意識することで脳内の整理をするという精神的な側面からのストレス解放につながります。
このように複数の要素が重なって、心身ともにリラックスできるのでしょう。

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