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陰ヨガとは① なぜポーズのキープ時間が長いのか?

Thinking Body

この数年、アクティブに動く「陽のヨガ」に対して、動きが少ないものの時間をかけて圧やストレッチを促す陰ヨガが注目されるようになりました。
そこで陰ヨガの魅力について考えていきたいと思います。
今回は陰ヨガ最大の特徴ともいえるキープ時間の長さについて、解剖学的観点から紹介します。
陰ヨガは柔軟性アップに効果的な理由も説明します。

陰ヨガとはどんなヨガ?

陰ヨガはポーズのキープ時間が3〜5分ほどと、長いことが特徴です。
ハタヨガやアシュタンガヨガなどの「陽のヨガ」ではだいたい5呼吸ほど吸う吐くを繰り返す程度が多い中、何分もポーズをキープするのはツライのでは、と思われがちです。

まず陰ヨガのポーズは座位、仰向け、うつぶせで行うものがほとんどで、立位はあまりありません。
床に身体を安定させてゆだねる姿勢をとるので、体力に不安がある人にも無理なく始められます。
ドラゴンのポーズなど、ローランジに似たポーズもありますが、ブロックをお尻の下に置いて支えにするなど、プロップスをできるだけ使用してゆだねる状態を積極的に作るので、無理して頑張るということはありません。

長時間キープすることの効果

では、なぜそんなに長い時間をかけて、ひとつのポーズをキープするのでしょう?

私たちには様々な筋肉があり、筋肉は腱を通して骨とつながっています。
筋肉や腱は弾力や滑りの要素をもつ結合組織と呼ばれる層の膜で覆われており、さらに全身の筋肉はこの結合組織でつながっています。
結合組織には水分が含まれていて、潤って滑りがいいことで筋肉がより自由に動けるようになっています。
ところが、生活習慣や加齢などによって、結合組織が筋肉に癒着して滑りが悪くなることがあります。
これが「身体が硬い」という現象につながるのです。

数呼吸ほどのキープでは筋肉への局所的なアプローチにしかならないことが多く、筋肉や腱全体、それらを覆う結合組織までを動かすことはできないと言われています。
圧をかけたりストレッチしたりすれば結合組織の潤いを取り戻しますが、それには1〜2分くらいかかると言われています。
陰ヨガでは、結合組織の滑りと張りを取り戻して動かしやすくするために、3〜5分キープするのです。

ポーズを深める目安

陰ヨガでは圧をかけたりストレッチをする目的の場所をターゲットエリアと呼びますが、ひとつの筋肉といった局所的な部分ではありません。
例えば、ふとももからふくらはぎ、足首にかけての脚の後ろ側全体というように、広い範囲を目的とします。
前屈したときに、膝の裏付近など、一カ所だけがすごく伸びたという満足感よりも、物足りないながらも坐骨から膝の裏、ふくらはぎの方までジワジワ伸びてくるくらいを目指すとちょうどいいでしょう。

おわりに

結合組織の滑りと張りがでると、筋肉が動きやすくなり、関節の可動域も広がります。
陰ヨガの効果として挙げられる「柔軟性がよくなる」というのは、解剖学的にこのような理由があったのです。
陽のヨガに慣れていると、ポーズをやっているという感覚が欲しくて無理に深めたくなりますが、それだけでは全身をつなげる結合組織までは届かないことがあります。
より広い範囲である結合組織へのアプローチを意識して、「ジワジワ圧をかける」「ジワジワストレッチする」を実践してみてくださいね。

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