ヨガでは「股関節で前屈」が基本です。
それだけに、股関節の位置をヨギーは無意識ながらも模索するものです。
そこで「股関節が自分の身体のどこにあるのか」という脳内イメージ(ボディマッピング)について、解剖学的に解説。
本能的に股関節として捉えているところ、それによって受ける機能的な影響なども交え、これまでとは異なる股関節の考え方を提案します。
「股関節はどこ?」と聞かれたら
股関節の位置について聞かれると、腰の張り出したところや太ももの上部の張り出したところを指し示すことが多いようです。
あるいは、脚の付け根のラインを指すこともありますね。
いずれにしろ、多くの人が股関節の位置を曖昧に、かなり広めに思っているようです。
股関節の構造
まずは、股関節の構造について確認しましょう。
股関節は、骨盤の一部である寛骨(腸骨、恥骨、坐骨が合体した骨)と太ももの骨である大腿骨のつなぎ目です。
寛骨側には寛骨臼(かんこつきゅう)と呼ばれるくぼみがあります。
そして、大腿骨側には大腿骨頭(だいたいこっとう)と呼ばれる球状の部分があり、それが寛骨臼にはまり込むようになっています。
深めのお皿の中でボールが転がるようなイメージで、動きが起こっていると思ってください。
目に見えるところだけに意識は集中する
さて、「股関節はどこ?」と聞かれて示す位置は、身体の前や横ばかりだと思います。
人間の目は前に向ってついていて、他の動物のほど後方の視野が広くはないため、どうしても視野の中心となる身体の前面に意識が捕らわれがちです。
ただ、目に見えているところだけを股関節として捉えて動かそうとすると、お腹の腹直筋や太ももの大腿四頭筋などに思わず力が入ってしまうものです。
これらの筋肉が固まることによって、股関節の可動域にも制限がかかります。
股関節で前屈しようとしているのに、理想通りに股関節で屈曲することができないというときには、このような事情が絡んでいることがあります。
股関節として動ける範囲には奥行きもある
そこで、寛骨臼の形状を思い出してみましょう。
深めのお皿のような寛骨臼には、前から見たときに感じられる幅に加え、目には見えない奥行きもあります。
寛骨を横から見ると、寛骨臼が寛骨の後ろの方に向っても位置しているいるのが確認できると思います。
“裏”股関節を意識してみよう
前かがみになって、お尻の方から股関節を触って確かめてみましょう。
坐骨と恥骨の間の辺りを手で触れると、大きな関節で動きが起こっているのがわかると思います。
いつも意識している身体の前側の股関節に対して、言うなれば裏の股関節です。
おわりに
前屈など、股関節を強く意識して動かす際に、「“裏”股関節で動く」と思って身体を動かしてみたらどうでしょう?
股関節の可動域やハムストリングのストレッチ感などが、いつもとは違いませんか。
前側も裏側も同じひとつの関節ですが、意識から外れている“裏”股関節を敢えて意識することで、あなたのヨガも変わるかもしれません。
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