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ヨガで腕を横に広げるようにして上げると肩を傷めやすい理由

Body Mapping

太陽礼拝などでタダーサナからウルドゥヴァハスターサナに移るとき、両手を羽のように横に広げるようにして、回し上げることがあります。
その際に、肩が痛いという声を耳にします。
そこで、なぜ両手を横から上げると肩を傷めやすいのかを、解剖学的な視点から順を追って説明します。

両手を前から上げるか、横から上げるか

ウルドゥヴァハスターサナでの両手の上げ方は幾通りもあります。
おおまかに分けるとすれば、身体の前に手を伸ばして万歳のように上げるか、羽を広げるように横から上げるかだと思います。

前から上げる場合、身体に起こっている運動は肩関節の屈曲です(もちろん、鎖骨や肩甲骨も連動していますが)。
そして、横から上げる場合は肩関節の外転で手が上げられていることになります。

肩を傷めるのは、前から上げる場合よりも、横から上げる場合の方が起こりやすいようです。

※胸の前で合掌して上げるという手段もありますが、ここでは前から上げる派に含みます。

タダーサナに潜むワナ

そもそもタダーサナを行うとき、私たちの思考の中には“良い姿勢”に対する固定概念のようなものがあり、まっすぐな背中を無意識に再現しようとしています。
そして、本能的に肩甲骨を背中側に寄せるのです。
猫背にならないように胸を張っているように感じられるものですが、実際には肩甲骨を背中側に寄せて肩を後ろに引き、腰を反らせています。

胴体は筒状で丸みを帯びている

ところで、私たちの身体の軸となるのは脊椎です。
脊椎の一部である胸椎は肋骨とつながって、胴体をかたち作っています。
注目してほしいのは、この肋骨は弓のような形をしていること。
つまり、胴体は筒状で丸みを帯びていることがわかります。

肩甲骨はこの丸みに沿ってついていて、前に向って動くようにできています。
そのような訳で、肩甲骨から先にある腕(上腕骨や橈骨、尺骨など)も、身体の前面で動く方が本来の構造に合っているのです。

両手を横から上げることで肩を傷める原理

タダーサナで肩を後ろに引いていては、胴体の丸みを無視して、腕を身体の側面から後ろの方で無理やり動かすことになります。
この時点で首から肩、背中には余計な力が入っているはず。
その体勢で横から肩関節の外転のみで腕を上げようとすれば、相当な負担を強いられます。
ウルドゥヴァハスターサナで両手を上げるのは何度も繰り返す動作なので、このやり方ではいずれ肩を傷めるのは仕方がないことといえます。

おわりに

横から両手を広げるように上げると、気持ちが高揚するものです。
でも、最初のタダーサナで肩を引き過ぎたり、腕や指先が視界の端から外れるほど後ろに広げたりするのはやり過ぎかもしれません。
もし、ウルドゥヴァハスターサナで肩が痛いを感じたら、いつもより少し前で手を動かしてみてください。

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